食事はがんを治すのに絶対不可欠

劇的寛解を果たした人たちは、食生活を根本的に変え、それががんや命にかかわる病気を治すのに絶対に不可欠だと信じています。食事療法の内容はさまざまですが(ヴィーガン、ケトン食、パレオなど)、劇的寛解者の大半は、以下の重要な食事の変更を実践しています。これらについては、私の前著『がんが自然に治る生き方』の中で詳しく述べています。

・砂糖、肉、乳製品、精製された食品の摂取を大幅に減らす、または完全になくす
・野菜の摂取量を大幅に増やす(ときには果物も)
・有機食品を選ぶ
・ろ過された水を飲む

覚えておいてほしいのは、食生活の変更は、慣れ親しんだ食事や伝統的な家庭のレシピを失ったり、まったく新しい食事方法を学ぶのに必要な時間、身体イメージや体重減少の問題など、精神的にストレスがかかる場合があることです。あなたは一夜にしてすぐに行動に移して、大きな変化を起こすことができるタイプの人かもしれませんが、そうでない人は、多くの劇的寛解者が時間をかけて小さな変化を起こしたことを知っておいてください。

いずれにせよ、その効果を考えると、時間と労力をかけて食生活を改善する価値はあります。

食生活を変えるとがんのリスクを減らせる

タフツ大学の研究チームは、最近、がんの原因として食事だけを取り上げています。研究者らは、20歳以上の成人の浸潤がんの5%は「最適ではない食事」が原因である一方で、がんの診断の4~6%はアルコール摂取、7~8%は体重過多、2~3%は運動不足によるものだと発見しました。「最適ではない」とは、野菜や果物、全粒穀物の摂取量が少なすぎ、高度に加工された肉、赤身の肉、砂糖入り飲料の摂取量が多すぎる食事です。

これらの要因のうち、加工肉の摂取量が多いことと全粒穀物の摂取量が少ないこと(すなわち、食物繊維不足)が、がんの新規診断の多さに関連する二つの要因でした。大腸は食事の変化に非常に敏感なため、この研究で食事に関連するがん症例のうち大腸がんの割合が最も高く(38%)、次いで口、咽頭、喉頭(いずれも消化管の一部)のがんが多かったのは驚くべきことではないでしょう。

しかし、食生活を変えることでがんになるリスクを減らせるという希望もあります。たとえば、50~79歳の閉経後の女性4万8000人以上を対象とした研究では、もともと太りすぎまたは肥満の女性に対して、総脂肪摂取量を減らし、野菜、果物、穀物の摂取量を増やすと、すい臓がんと診断されるリスクが29%減少することがわかりました。

太りすぎはがんになるリスクを高めることがわかっていますが、栄養失調や体重減少、痩せすぎという相反する問題は、化学療法や放射線療法の危険な副作用です。がん患者は栄養豊富な食品で身体を満たすことが不可欠ですが、どの食事法がベストかについての一致した見解はまだありません。