全米で23万部のベストセラー本を著したがん研究者ケリー・ターナー氏は、がんが劇的に寛解した1500以上の症例を分析。世界中の数百人ものがんサバイバーたちにインタビューした結果、奇跡的な回復を遂げた患者たちには、ある共通点があることがわかった。そのうちの一つが、「自分自身で治療をコントロールすること」だった――。

※本稿は、ケリー・ターナー『がんが自然に治る10の習慣』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

同じ種類のがんでも治療法は人によって違う

天然痘を治すようにがんを「治す」ことは、まだできません。それは、がんがあまりにも個人差が大きいからでしょう。たとえば、乳がんの女性が2人いたら、同じ種類のがんに思われるかもしれませんが、分子レベルではまったく違う病気であり、治療法もまったく異なるでしょう。

がんの分子的性質の違いに加え、この2人の女性は、根本的な遺伝子プロファイルや免疫システムが異なり、環境やライフスタイル、心理的要因など、生涯にわたって異なる発がん因子にさらされてきたはずです。したがって、この2人のがん患者が根本的に異なる治療法を必要としたとしても驚くべきことではありません。

これが、がんの「治療法」が見つからない理由の一つであり、また劇的寛解者が複数の治癒戦略を必要とする理由の一つです。そして、こうした治療法を研究し、実行するためには、劇的寛解者たちが自分の健康に関して力を引き出す(エンパワーする)必要があります。

私は前著『がんが自然に治る生き方』の中で、この治癒要因を「自分の健康をコントロールすること」と呼びました。しかし、この研究が進むにつれて、私が対話した劇的寛解者たちは、この呼び方を微調整してくれました。

がんや人生全般を完全にコントロールすることは不可能なので、この治癒要因をより正確に表現するなら、「自分自身に力を与える(エンパワーすること)」だと私は学びました。寛解した人たちは、次のような特徴を強化することで、自分自身に力を与えています。

・自分の健康に対して積極的(受動的ではなく)になる
・自分の生活に(ときには思い切った)変化を起こそうとする意欲がある
・友人や家族、医師からの抵抗に対処する能力

「受け身の患者は死ぬ。うるさい患者は生き残る」

自分の健康をビジネスとして考えて、自分がその会社のCEO(最高経営責任者)だと想像してみてください。あなたはビジネスのあらゆる部分がどのように機能しているかを理解し、優秀で信頼できる従業員からなるチームに囲まれたいと思うでしょう。質問をしたり、思い込みに異議を唱えたり、選択肢を調べたり、セカンドオピニオンやサードオピニオンを求めたりして、チームの優秀な医療専門家と協力しながら、治癒戦略の次のステップを決定したいものです。

優れたCEOであれば、ときには事業戦略を変更することもいとわないはずです。劇的寛解の生存者たちは、たとえ時間がかかったり、感情的に困難な場合でも、つねに自分の生活を分析し、変化を起こそうとします。

がんを魔法のように治す即効性のある薬や手術はないため、彼らはその代わりに身体・心・精神のシステム全体を癒やすために時間と感情的な資源を投資しています。これには、パーソナルケア用品や掃除用具を取り替えたり、食生活を見直したり、ストレスの多い仕事を辞めたり、新しい家に引っ越したりすることが含まれます。

最後に、劇的寛解を経験した人たちは、正確な手順に従わないと治療を拒否する医師や、自分の選択を怖がる恋人、自分の決断を受け入れようとしない友人など、周囲の多くの善意の人たちからの批判や抵抗に対処するための強い気骨が必要であると報告しています。上流に向かって泳ぐことは、とくに命の危険を感じるときには困難なことですが、劇的寛解者はみな、この決意が生き延びるための鍵であることを知っています。

率直に言えば、劇的寛解者たちは、“悪い患者”というレッテルを貼られることを恐れていません。寛解者であるジェーン・マクレランドは、「受け身の患者は死ぬ。うるさい患者は生き残る」と表現しています。

車椅子に乗ってはしゃぐがん患者
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