※本稿は、ケリー・ターナー『がんが自然に治る10の習慣』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
「生きる強い理由」が幸せホルモンを生む
劇的寛解についての研究で寛解者たちにインタビューをするうちに、私は「生きる強い理由がある」ことと「死にたくないこと」とは大きく違うことがわかってきました。私が調査した人たちの中には、死を恐れている人もいれば、その可能性を受け入れている人もいましたが、彼らに共通していたのは、生きることへの強い決意でした。
劇的寛解者とその治療者たちは、「生きたい」という思いは、心の奥底から湧き出る確固たる信念でなければいけないと強調します。これは、がんと闘っているときや死と闘っているときとは、まったく異なる精神状態をもたらします。闘争心は身体を闘争・逃走モードにし、コルチゾール(ストレスホルモン)を増加させ、免疫システムを抑制します。一方、生きる理由に焦点を当てると、喜びや目的、幸せを感じ、体全体の免疫力を高めるホルモンの変化につながります。
簡単に言うと、身体は心が言っていることに耳を傾けます。生きることに意識が向いていれば、脳はセロトニンやオキシトシン、ドーパミンなどのいわゆる幸せホルモン(免疫力を高めるホルモン)を血流に流し込んでくれます。
多くの代替療法士によると、生きる理由を強く持つことで、生命を育む「気」、つまり生命のエネルギーが体内に注入されます。しかし、その逆もまたしかりです。もし、あなたの心が絶望的で人生をあきらめているのなら、血液検査の結果は、免疫力を高めるホルモンの値が低いことを示し、あなたの脈拍を分析した鍼灸師は「気」のレベルが低すぎると言うでしょう。
人生の真の喜びと目的の源を発見する
劇的寛解者たちはみんな、生きることに集中するためには、人生の真の喜びと目的の源を発見すること、場合によっては再発見することが必要だったと報告しています。多くの場合、がんの診断をきっかけに、仕事上の目標や友人関係、家族、精神性、創造性、コミュニティ、あるいは忘れかけていた趣味といった、それまで喜びを感じていた人生の側面にフォーカスするようになりました。
あなたの生きる理由は、生きている間に変化する可能性があります。
20歳のときの自分と、80歳のときの自分を思い浮かべてみてください。この二つの自分の優先順位はまったく同じだと思いますか?
さらに、がんのような予期せぬ診断が下された場合、それによって状況はどう変わるでしょうか?
多くの人は深刻な病気や状態と診断されると、優先順位を見直し、別のレンズを通して自分の人生を見ることを余儀なくされます。劇的寛解者たちは繰り返し、診断が人生の目的を再定義するよう促す警鐘だったと報告しています。