余命1年と宣告されてから寛解したワケ

劇的寛解者の一人で、日常に喜びを見出すことに集中したのがケイトです。

コロラド州の田舎町で夫と暮らしていたケイトは、2009年にステージ3Cの進行性の卵巣がんと診断されました。人里離れた場所に住み、子どもを産まないという決断をしていたため、ケイトは治療中に孤立し、孤独であることに気づきました。そんな中、愛犬のジャスパーが思いがけない支えとなり、気づきの源となってくれました。

「ジャスパーは闘病中、片時も私のそばを離れませんでした。ある日、ソファの上に座りながら、それまでの人生がなんだか大変だったことに気づいたんです。私は自分自身に問いかけました。これって価値があること?

本当にこれをやりたいのだろうか、と。『生きたくない』と決めれば、身体はそれに従うだろうと気がついたんです。それから私は、ジャスパーを見ました。彼女は、私の頭の中で起こっているこの会話が聞こえているかのように私を見ていました。そして私は思いました。『心配しないで、私はあなたを置き去りにしないわ』。

それから、元気になったら何をしたいか、ということに目を向けはじめました。――犬や馬と一緒に山に登ったり、森でキャンプをすることを夢見るようになったんです。今がどんなに悲惨な状況であるかは考えませんでした。この状況を乗り越えたら、何を楽しみにしようかと考えたのです」

多くの劇的寛解者と同様に、ケイトも治療の不安や死の可能性についてくよくよ考えるのではなく、自分自身の生きる理由に目を向ける決断を下しました。この戦略によって、彼女は従来の医療(手術と化学療法)と劇的寛解の10の治癒要因の両方を用いた治療を乗り切ることができたのです。医師から余命1年と宣告されたにもかかわらず、10年以上経った今も元気で、夫や犬たちと自然に囲まれた、幸せな日々の生活を楽しんでいます。

遊びで自分の内なる子ども心を取り戻す

劇的寛解者が、将来の目標であれ日々の楽しみであれ、生きる理由を見つける方法の一つが、遊びをすることです。遊びは子どもだけのものではなく、大人にとってもリラックスや刺激、健康の源として認められています。

大人の遊びは、仕事や責任、病気のことさえも忘れて、忙しい現代社会に欠けている、かたちにとらわれない創造的な時間を脳に与えてくれるものです。遊びの時間はストレスを軽減し、人とのつながりを感じ、創造性を高めることで、より健康な免疫システムをつくり出します。

子どもの頃のように思い切り遊ぶことでポジティブな感情が高まり、日々の喜びが強い生きがいになるかもしれません。そして、あなたの身体は、遊びから多くの生理的・心理的なメリットを得るでしょう。

大人の遊びのトレンドは世界的に広がっており、がん患者が治療の一環として遊びを取り入れやすくなりました。たとえば、大人の塗り絵はつねにベストセラーの上位にあり、多くのがんセンターでは、化学療法室の中に塗り絵を置いています。塗り絵は想像的な表現の場を提供し、ストレスを軽減し、不確かな未来を心配するのではなく、今を生きる能力を高めてくれるのです。

さらに、大人向けのボードゲームやゲームナイトの人気も高まっています。昔ながらのボードゲームやポーカーのようなカードゲーム、脱出ゲームなどの新しい趣向を凝らしたゲームナイトは、笑いの筋肉を鍛えるだけでなく、社会的なつながりを増やすのにも役立ちます。

大人のアートやクラフトは、一人でもグループでも楽しめます。

たとえば、欧米で人気のペイント&シップというグループレッスンでは、ワイン(またはコンブチャ)を持参して友人たちと一緒に地元のアートスタジオに行き、プロのアーティストの指導のもと、キャンバスに同じ絵を描いていきます。絵を描くだけではありません。木製の看板やステンドグラス、フラワーアレンジメント、手づくりのお寿司など、テーマを求めてつくる夜もあります。

さらに、地域のコミュニティセンターでは、ドッジボールやジップライン、自然ハイキング、タレントショーなど、大人向けの遊びのアクティビティが開催されています。一部のリゾート地やサマーキャンプでは、このような大人の遊びのトレンドに注目し、大人や家族向けのサマーキャンプを開催しているところもあります。

ケリー・ターナー『がんが自然に治る10の習慣』(プレジデント社)
ケリー・ターナー『がんが自然に治る10の習慣』(プレジデント社)

遊び心を育てたり思い出したりするのに、遅すぎるということはありません。子どもの頃は本来、遊び好きで、他人の反応や「もっと大事なこと」を気にすることはなかったでしょう。

笑いは文字どおり身体にとって薬になります。遊び心を持つことで、ポジティブなエンドルフィンが分泌され、日常の喜びを再発見し、自分の生きがいさえもわかるようになるかもしれません。かたちにとらわれない遊びをする時間を定期的に確保することで、自分の内なる子ども心を取り戻すことができます。

多くの劇的寛解者にとって、遊びや穏やかな感謝の気持ちを通して、一瞬一瞬を最大限に楽しむことを学ぶことが生きる強い理由になったのです。

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