事務所の存続にとっては「最悪の選択」
あの東山紀之がジャニーズ事務所の新社長?
たしかに、会見前までにスポーツ紙や文春オンラインでは「ジュリーの後継は東山に決定」と報じられていたが、私は、ここまで追い詰められたジャニーズ事務所が、そんな最悪の選択をしないのではないかと思っていた。
“社内”から持ってくるとしても城島茂か井ノ原快彦ではないか。東山であってはならない理由は明白だ。
「ジャニーズ性加害問題当事者の会」メンバーの平本淳也が1996年4月に出した『ジャニーズのすべて 少年愛の館』(鹿砦社)を引用すれば十分だろう。
「東山はジャニーさんに長く愛されている恋人で、本当は一時も離れたくはない間柄である。相思相愛であり、行く行くはジャニーズ事務所を継ぐとも言われる東山に対し、ジャニーさんは社長の仕事を覚えさせるための試練を与えていると見られている。
ジャニーズ事務所の社長はホモである方が都合がよいし、重要な任務がある。ジャニーさんもメリーさんもそろそろ引退を考え、後継者のことも頭にあるはずだ」
9月7日の会見には藤島ジュリー景子氏が出席し、ジャニー喜多川の少年たちに対する性的虐待を正式に認め、自らは辞任し所属タレントの中で最年長の東山紀之を社長に据えた、被害者たちへの補償は自らがやっていくと語った。
「性加害をしたのか」に「記憶にない」
ジュリー氏は東山を社長に据えた理由を、タレントの気持ちもわかりコミュニケーションがとれる人物だからだと答えた。
だが、東山は、ジャニー喜多川の少年虐待をその目で見ている“目撃者”でもあり、ジャニーズJr.の加害者でもあったかもしれないのだ。
会見で東山は、失った信頼を取り戻すために命を懸けると抱負を語った。
だが、最初のしんぶん赤旗の記者に始まり、質問の多くが、東山自身がジャニー喜多川に性加害を受けたことはないのか、自らが加害をしたことはないのかに集中した。
合宿所と呼ばれるところで、多くのジャニーズJr.たちがジャニー喜多川から性的虐待を受けていたが、そこでも東山は「特別扱い」だったと、多くの元Jr.たちが証言している。また、元Jr.の一人は東山から性的被害を受けたともいっている。
東山は何と答えるのか? 関心はそこに集まった。
案の定、やや頬を紅潮させながら「記憶にない」と繰り返した。「本当に記憶にないのか」と何度聞かれても、「自分の幼稚さであったりとか、(中略)記憶を辿ってもちょっと覚えていないことも本当に多くて。したかもしれないし、していないかもしれない」と禅問答のような答えしか返ってこなかった。
激昂することはなかったが、この質問には絶対答えない、全否定すると決意していたに違いない。
こういう人間が、ジャニー喜多川の性加害問題に携わるのは、今後大きな問題になってくるはずである。