「長い閉じこもり生活」の影響はまだ続く
コロナ禍以降、会社も学校もリモート作業が増え、コミュニケーションの形は急激な変更を余儀なくされました。楽しい旅行や会食、イベントが中止になることも経験しました。しかし、私たち人間は社会的生き物であり、外に出たり、人々と関わったりする中で心身のバランスを取っています。長い閉じこもり生活は、ボディブローのように効いて、自分が想像している以上に大きな影響を受けているのです。
コロナウイルスそのものとの戦いは、収束に向かっていくかもしれません。しかし、精神面の問題は、むしろこれからどんどん表出していくはずです。
平常時でも、夏休み明けなどは「会社に出たくない」「学校に行きたくない」と訴える患者さんが増えます。それが、これほど長期にわたって閉じこもっておいて今度はいきなり動きだすわけですから、うまく対応できなくて当たり前。年齢、性別、職業などを問わず、誰もが「自分はメンタルが弱っている」と認識し、何かしらの行動を起こしましょう。
多くの人が、「コロナのせいであれもこれもできなかった」という悔しい思いを抱えていることでしょう。修学旅行や運動会が中止になった子どもたちには、慰めの言葉もありません。
整理整頓も自律神経を整えるのに効果的
私は、医者という仕事柄、病院勤務は変わらずに続けましたが、それでも講演会などの仕事は軒並みキャンセルしました。プライベートでもたくさんの楽しい機会を失いました。しかし、コロナに“やられっぱなし”でいては、ますます心身を病んでしまいます。ここはあえて、「コロナ禍だからできた」という意識転換をしていくべきです。
私の場合、家にいる時間が増えたことを生かし、整理整頓を始めました。これまで気にはなっていたけれど手つかずにいた余計なものの処理を、今は着々と進めています。資料が山積みになっていた研究室も、きれいに片付けて気持ちを一新。すっきりと仕事ができるようにしていく予定です。
整理整頓も自律神経を整えるのに効果的です。コロナ騒動に流されて、なんだかけじめがつかないと感じている人は、ぜひ、この機会に取り組んでみてください。
私たちは、歓送迎会や卒業式など、大小さまざまな季節の行事で人生に区切りをつけていたのに、コロナ禍でその機会を失うことがありました。例えば、この間、定年を迎えた人は中途半端に人生の大きな節目を迎え、糸の切れた凧のようになっています。「コロナに負けず新しく始めた習慣」を意識的に持ちましょう。私のように小さな美を感じたり整理整頓したりするだけでも、気持ちは前向きになっていくはずです。