男性は30歳、女性は40歳過ぎから副交感神経の働きが落ちる

自律神経は、緊張と興奮を司る「交感神経」と、リラックスを促す「副交感神経」からなり、車にたとえると、交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキのような役割を果たしています。事故なくいい走りをするためには、アクセルもブレーキも高い機能を維持していることが大事ですが、男性は30歳、女性は40歳を過ぎたあたりから副交感神経の働きがガクッと落ちる傾向にあります。

すると、交感神経が優位になり、イライラしたり不眠に悩まされたりするのです。逆に、交感神経の働きが低く副交感神経が高ければ、心身の活力がなくなって、うつ病などの心配も出てきます。

いずれにしても、自律神経の乱れは心身の不調に直結しますが、その名の通り、脳の支配から自律していてコントロールが利かないため、生活面のリズムを整えるといった工夫が重要になります。

私も含め現代に生きる人は、そもそも自律神経のリズムを乱されがちです。というのも、外部に「乱す」要素が多すぎるからです。

その最たるものが怪しげな情報。とくに、インターネット上には、どんな分野についても無責任な情報が溢れ返っています。そうした情報に振り回されないために、私が実践しているのが日々の行動の徹底した「ルーティン化」(習慣化)です。

自分へのスイッチを入れる「コップ一杯の水」

初めに、「目覚めたらコップ一杯の水を飲む」こと。好きな銘柄のミネラルウォーターを丁寧にコップに注ぎ、ゆったりとした気分でごくごくと飲み干します。睡眠中に失われた水分の補給をし、腸の働きを促すと同時に、「大切な一日を流されずに過ごそう」という自分へのスイッチを入れる重要な習慣となっています。

サライ編集室『5人の名医が実践する「ほどほど」健康術』(小学館)
サライ編集室『5人の名医が実践する「ほどほど」健康術』(小学館)

帰宅後も、どんなに疲れていても、まず一杯の水を飲み、身につけていた靴や服をきれいにしまいます。続けて翌日の服を用意してから、ゆっくり寛ぎます。こうした行動のルーティン化によって、自分の生活を外部の雑音から守っているのです。

考えてみると、ネット上に大量に溢れ返っている情報は、ほとんどいらないものばかり。それに右往左往して自律神経を乱し、心身の健康を損なうのはバカらしい。

また、コロナ禍以降、実に多くの人がネット上の定額動画配信サービスを利用して、連続ドラマなどを深夜まで見続けるようになったそうですが、これも自律神経を乱す行為。現代社会は油断しているとすぐに、不必要な情報に飲み込まれ、結果として自律神経を乱すリスクに満ち溢れています。

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