上司やキャリアアドバイザーへの相談は有効

さらに、この「対話」がもたらす効果についてより詳細に分析すると、「誰と話すのか」「どのように相談するのか」次第でも、統計的な関係が異なりました。

まず、「誰との対話か」という点については、「上司」や「仕事の知人」「キャリアアドバイザー」との相談経験が、〈変化適応力〉を高めていました。

「ただの共感」や「正解を与える」のは良くない

さらに、「どのような相談をするのか」という点も興味深い結果が得られています。

相談相手から「客観的な意見をもらう」タイプの相談をしていると、〈変化適応力〉にプラスの影響が見られました。相談相手から「わかるわかる」のような同調的な「共感」や、「こうすればいいよ」という「正解」のようなアドバイスを引き出そうとする相談では、むしろ〈変化適応力〉とマイナスの関係が見られました。これだけで因果関係を明確にできるものではありませんが、この結果は大変興味深いものです。

【図表3】どんな相談が変化適応力を引き出すのか
出所=パーソル総合研究所「シニア従業員とその同僚の就労意識に関する定量調査」

そして、〈変化適応力〉にプラスの影響を与えていた対話のもう一つのポイントは、「自己開示」が深いレベルで行われていることです。自己開示とは、自分の弱みや目標などを赤裸々にどれくらい他者に開陳できるか、です。簡単に言えば「腹を割る」こと。これも、キャリア後半の中高年になるほどできなくなってしまいます。