長生きするためにはどんなことに気をつけたらいいか。医師の和田秀樹さんは「テレビは観すぎないほうがいい。ワイドショーなどは極端な事例ばかりを報じるため、無用な不安を抱いてしまうおそれがある」という――。(第2回)

※本稿は、和田秀樹『65歳から始める和田式心の若返り』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

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「孤独死」は本当に不幸なのか

人生を楽しむうえで、高年者の思考を邪魔するのが、「孤独」への恐れです。高年になると、「一人ぼっちにはなりたくない」「孤独死したらどうしよう」という発想が強くなります。これも予期不安が起こす恐れです。

現在、一人暮らしの65歳以上の高年者は、日本では670万人を超えています。単身の高年者が大きな事件・事故などを起こすと、高年者の孤立や孤独の問題がメディアで大きく取り上げられます。しかし、実際には、独居の高年者全員が孤独感にさいなまれているわけではありません。一人暮らしで誰にも看取られず、何日も経ってから発見される、という「孤独死」を恐れる人も多いでしょう。

しかし、よくよく考えてみれば、数日経ってから発見されるということは、死ぬ直前まで元気だった可能性が高いわけです。今は、要介護認定を受けた高年者であれば、ほぼ例外なく、なんらかの福祉サービスとつながっています。

日常的な支援が行われているので、体調が悪ければすぐに病院に連れて行かれて、孤独死はなかなかできないのです。孤独死したということは、自殺などのケースを除き、理想の死に方とされる「ピンピンコロリ」が実現できたということ。直前まで寝たきりにもならず、元気に生き、眠るように最期を迎えるという、なかなかできない死に方ができたわけです。

皆さんは「認知症になりたくない」とおっしゃいますが、一人暮らしは認知症予防の最高の方法です。私は、一人暮らしを続けている認知症の患者さんもおおぜい診ていますが、独居の人ほど、認知症の症状は進みにくいと思っています。