育児をする人はみんな支援される必要がある

たとえ父親が育児参加し、母親の孤立が避けられたとしても、今度は「家族が孤立」したらどうだろうか。これまで「子育て世帯の孤立」はほぼ「母親の孤立」と同義で語られてきており、明らかなデータや影響は示されていない。しかし片方の産後うつがもう片方の産後うつのリスクであることは判明しており、「母親が追い込まれる→父親が追い込まれる」、もしくは逆の構図が成り立つことからすれば、ここに第三者が介入できない、孤立状態となるのは非常に高いリスクである。双方がメンタルヘルス不調となれば虐待・ネグレクトなどの問題にもつながりかねないため、可能な限り片方が発症した段階で、すぐ家庭全体を支援するのが望ましいのは言うまでもない。

平野翔大『ポストイクメンの男性育児 妊娠初期から始まる育業のススメ』 (中公新書ラクレ)
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実際に、母親の産後うつが子どもの睡眠や認知・情緒的発達のみならず、身体症状や病気・事故の発生にまで影響を与えることが示されており、父親の産後うつも子どものうつ病・精神問題に影響を与えることが示されている。

つまり、育児をする母親も、父親も、そして家族も、きちんと社会支援システムの中に組み込まなければならないのである。それこそが、「育児と仕事を両立できる社会」ではないだろうか。

育児支援が女性に偏ったことは、母親に「育児をメインで、プラスαで仕事」、父親に「仕事をメインで、プラスαで育児」という不均衡をもたらした。これでは「育児と仕事を両立」できているとは言い難い。

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