中国に精通した社員ほど要注意

さらに何よりも重要なことは、中国に出張・駐在する社員にこうした注意点などを徹底的かつ継続的に教育することだ。日中間は現在政治的な冷却状態が続いているとはいえ、コロナ禍の影響を除けば、極めて往来の多い2国間関係である。それゆえ慣れや親近感で気が緩みがちになる。

特に中国との往来が多いビジネスマンほど要注意だ。実際、鈴木氏も今回のアステラス製薬社員も中国との交流期間はかなり長い。この場合は何気ない言動が反スパイ法抵触と指摘される局面はどうしても増えてしまう。

いずれにせよ中国は一般的に日本人ビジネスマンが渡航する国の中では、カントリーリスクが高めであるこということを改めて認識しておくべきと言えよう。

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