農業における「経営」の役割
現在の日本の農業は、多くの課題をかかえる。平野の少ない日本では、諸外国と比べて耕作可能地が少なく、農家一戸あたりの耕作面積は小さい。そのために農家の収益基盤は弱く、農業従事者の高齢化が進む。さらにはグローバリズムのもとで安価な外国産の農産物との競争にさらされ、食糧自給率は長期的な低下傾向にある。
一方で近年では、農業には新しい可能性が広がりはじめている。スマート農業、6次産業化、そしてSDGsなど、農業の付加価値を高めたり、新たな価値を見いだしたりする動きが進む。
これらの課題を克服し、可能性にこたえていくうえで、経営という営みが果たす役割は小さくない。この農業における経営の役割を生き生きと描きだす書籍『さくらんぼ社長の経営革命 入園者ゼロになった観光農園の売上を過去最高にできたしくみ』(矢萩美智著、中央経済社)が6月に出版された。
同書のなかで、私は解説を担当している。そこでの経営の役割は、農業にとどまらない、幅広い事業に共通するものであり、本書は、幅広ビジネスパーソンの関心に応えるものとなっている。