三菱地所は「丸の内の大家」とも呼ばれる名門企業である。しかしこの優良企業は、保守的な不動産管理会社に甘んじることなく、時代の変化のなかで、不動産事業の新たなモデルに次々と取り組むことで成長を果たしてきた。

現在の三菱地所は、丸の内をさらに時代を先取りした街へと進化させようとしている。コロナ禍を経て、都心のビジネス街でもデジタル化による働き方の変化は止まらない。そのなかにあって三菱地所は、丸の内エリアでのイノベーションのエコシステムの育成を進めており、事業創造のための人と人との交流の拠点としての可能性を活性化しようとしている。

三菱地所が東京駅日本橋口前で開発を進める「TOKYO TORCH」プロジェクトの完成イメージ(出典=PR TIMES/三菱地所)
三菱地所が東京駅日本橋口前で開発を進める「TOKYO TORCH」プロジェクトの完成イメージ(出典=PR TIMES/三菱地所)

イノベーションで未来を切り開いてきた歴史

三菱地所株式会社は東京・丸の内という一等地に多くのビルを保有し、管理している。丸の内は東京駅の西側、皇居とのあいだに広がる日本を代表するビジネス街である。三菱グループをはじめとする国内外の有名企業などがオフィスを構える日本経済の中枢のひとつであり、高層ビルが林立している。

この丸の内を地盤とする不動産会社という三菱地所の立ち位置は、保守的な資産管理会社を想起させるかもしれない。だがそうではない。三菱地所は、変化に挑むことに貪欲な企業である。

三菱地所の統合報告書には、「時代の先を読んだ新たな提案やビジネスを創造していく」ことの必要性が説かれている。たしかに、歴史を振り返れば、三菱地所はイノベーションによって自らの未来を切り開いてきた企業である。