5.30min.

30min.は、三菱地所が提供する家事代行サービスである。より気楽に家事代行を使えるように、30min.では30分単位での利用が可能となっている。30min.は三菱地所の管理マンションなどを中心にサービス提供をはじめており、家事代行スタッフが特定のマンション内や地域内を循環しながら働く仕組みをつくることで、短時間利用と業務量の確保を両立させようとしている。

入居者同士のコミュニティを重視した「コリビング(Co-Living)」を提唱する、Hmletの集合住宅のパブリックススペース(出典=PR TIMES/三菱地所)
入居者同士のコミュニティを重視した「コリビング(Co-Living)」を提唱する、Hmletの集合住宅のパブリックススペース(出典=PR TIMES/三菱地所)
6.Hmlet Japan

Hmlet Japanは、三菱地所とシンガポールのHmlet社による合弁会社である。Hmletが手がけるCo-Livingは、入居者同士のコミュニティ形成に重点を置いたシェアハウスの一形態で、ニューヨーク、ロンドン、シンガポールなどの世界都市においてミレニアル世代を中心に普及しつつある。居室には家具などが備え付けられており、コミュニティー・マネジャーが、入居者同士のコミュニティ形成をサポートする。海外転勤などの際に利用すれば、現地でのスムーズなネットワーク形成などが可能になる。このCo-Livingの事業を、Hmlet Japanは日本で展開している。

アフター・コロナにおけるオフィスの役割

以上の三菱地所の取り組みから学ぶべきことは何なのか。三菱地所は、これらの新規事業を、丸の内で自社が構築してきた先進的なオフィスやエコシステムをはじめ、ソーシャルキャピタルを活用しながら進めている。このコロナ禍以前から続く挑戦は、われわれに2つの問いを投げかけているように思われる。

第一は、アフター・コロナにおけるオフィスの役割である。コロナ禍を経て世界中の企業が、オフィスワークの創造的破壊をさらに押し進めようとしている。

コロナ禍によって、リモートワークの体験は一気に広がった。しかし、不必要な出勤や出張を控えたり、オフィス面積を削減したりするだけでは、企業の未来は開けない。

オフィスは効率的に作業を行うためだけにあるのではない。リモートワークが生みだすオフィス空間や働き方の余裕を、新たなビジネスの創造に振り向けなければ、未来に向けた企業の成長は生じない。一方で、シェア・オフィス、ワーケーションなどの選択肢の拡大も止まらない。都心の一等地のビジネス街、そしてそこにオフィスを構えることの価値の問い直しは今後も続くだろう。