娯楽業の中で唯一成長している公営ギャンブル
コロナ禍はゲームや動画配信、マンガアプリに大きく味方をしたが、実は“公営ギャンブル”もまた追い風をうけた産業である。
公営ギャンブルは中央官庁が管轄し、競馬、競輪、競艇、オートレース、スポーツくじなどを相称するカテゴリーだ。
2021年3月に出た経産省の調査(第3次産業活動指数)でも、娯楽関連事業「映画館」「劇場・興行団」「スポーツ施設提供業」「遊園地・テーマパーク」「パチンコホール」など娯楽業全てがダメージを受ける中、“唯一急上昇した事業”として「競輪・競馬等の競争場、競技団」(競輪場、競馬場、オートレース場、競艇場の4業種)が挙げられている。
ほとんどがネットで賭けている
なぜ「外出」を基本とするロケーションをベースとした娯楽産業で、公営ギャンブルだけが成長基調となったのか。
簡潔な答えとしては「電話投票(PC・スマホ経由も含まれる)」が機能して、リモートでも賭けに参加する人がたくさんいた、ということになろう。
電話投票の仕組みは競馬で1974年に取り入れたところから始まり、全公営競技がどんどん取り入れていった。
2005年競馬法の改正によって、馬券販売委託が民間業者にも可能となり、楽天が参入。
競輪とオートレースではミクシィがインターネット投票アプリ「TIPSTAR」を2019年にリリース。2020年にはサイバーエージェントの子会社が運営する「WINTICKET」でも同様のアプリがスタートした。
コロナ直前の2019年時点で、すべての売り上げのうちで中央競馬は7~8割、競輪・オートレース・競艇は5~6割の電話投票経由(≒ネット投票)という水準まで上がってきていた。
これがロックダウン期間は競馬で9割、競艇・競輪・オートレース7~8割に到達した。もはや公営競技場にいって、その場で賭けを行うユーザーはマイノリティーなのだ。
家庭用ゲーム市場では、直近3年でオンライン購入が促進している。1本あたりのソフトでパッケージよりもオンライン購入のほうが粗利も4倍程度高い。そんなWin-Win(ウィンウィン)の状況が、ゲーム市場のみならず、この公営ギャンブル市場でも起こっていたことが分かる。