ロシア軍の戦果について国内でも見解の相違が

米シンクタンクの戦争研究所(ISW)が7月3日に発表した最新報告書によれば、ロシア国防省とロシアの軍事ブロガーのあいだでは、最近の戦況について見解の相違が生じているようだ。

ロシア国防省は、ウクライナ東部の要衝ケルソンにあるアントノフスキー橋近くで起きた戦闘で勝利したと主張したが、軍事ブロガーらは最近、その主張は誤りだと反論したと、ISWの報告書には書かれている。同報告書によれば、プーチンはそうした軍事ブロガーたちの「検閲」を検討中のようだ。

ドネツク州バフムートは、プリゴジンがこれまで何度も「肉挽き器」と呼んできた激戦地。ワグネルがドネツク州で戦闘を主導してきたことと、ワグネルの反乱未遂事件が起きたことにより、ロシアにとってバフムートはいま、決して失うことが許されない重要な地と考えられるようになっている。

ハーグ戦略研究センター(HCSS)の戦略アナリスト、フレデリック・マーテンズは以前、本紙に対して以下のように語っている。「ロシアにとってバフムートの死守は、政治的に絶対欠かせない、重大なものになっている。そのため廃墟でしかないバフムートの町の防衛に、予備役部隊を集中させざるを得ない。これこそ、まさにウクライナが求めていたことではないだろうか」

(翻訳:ガリレオ)

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら
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