<ウクライナで4000台以上の戦車を失ったとも言われるロシアだが、いよいよ第2次大戦の主力戦車に頼らざるを得ない状況なのか:ニック・モルドワネク>
旧式の戦車
写真=iStock.com/Wirestock
クロアチアのカコベツで開催された展示会での古いT-55軍用戦車

ロシアの古い戦車の一群が戦場に向けて列車で移送されているのを見ながら、地元住民たちが噂話をしていると思われる動画がツイッターに投稿された。列車に載せられているのはT-55戦車で、撮影場所はロシア南西部にあるヴォロネジ州の州都ヴォロネジだという。

投稿したのは、エストニア人軍事ブロガーの「Dmitri」(アカウント名@wartranslated)。T-55は、ソビエト連邦時代に開発された、第2次大戦後の主力戦車だ。ウクライナの軍関係者が6月に明かしたところによると、2022年2月24日にウクライナ戦争が始まって以来、ロシアは4000台以上の戦車を失っているという。

動画では、ヴォロネジ在住のあるロシア人が、移送されるT-55を眺めながら、そばにいる人に対して、「これらは、マンモス並みに古代のガラクタだ」と話している。「新しい戦車が尽きたから、古いT-55を投入しているんだ」

もう1人が「新しく見えるけど」とコメントすると、「変な色に塗ってあるだけだよ」と答え、運ばれているのはすべて同じモデルだと話している。

HIMARSがロシア軍の兵器を破壊する動画

ウクライナ戦争が始まって1年4カ月が過ぎたいま、ウクライナ軍高官は、反撃が良い方向へ向かっていると自信をみせる。同軍は7月4日、アメリカから供与された高機動ロケット砲システム「HIMARS」が、ロシア軍のロケット発射システムや榴弾砲などを爆撃する様子をとらえた動画を公開した。

ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は7月4日、「前線では先週、困難に直面した」とツイートした。「しかし、われわれは前進している。一歩一歩、前に向かっている。ウクライナを守っているすべての人、ウクライナの勝利を目指して戦っているすべての人に感謝したい。われわれの英雄に栄光あれ!」

このゼレンスキーの楽観的なメッセージが発信されたのは、ロシア軍がウクライナ東部バフムートで敵を撃退したとロシア国防相セルゲイ・ショイグが発表したすぐ後のことだった。バフムートは、今回の戦争が始まった直後からの激戦地だ。

ショイグは、民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジンが武装蜂起した際の標的となった人物でもある。プリゴジンが企てた反乱は、世界中の注目を浴びた。伝えられるところによると、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はその際、飛行機でモスクワから逃亡し、400キロメートルほど離れたロシア北西部にある自身の別荘に避難していたという。