1店舗あたりの売上高は業界トップ

その強さを支えているのが1店舗あたり売上高の大きさです。グラフを見ると店舗数は一定ですが売上高は右肩上がりであるのが分かります。

【図表】角上魚類 売上高と店舗数推移(18.3~22.3)単位:百万円
角上IR数値より筆者作成

22年の1店舗あたり売り上げは18億2000万円です。競合の大手2社に比べて店舗数は4分の1以下ですが、1店舗あたり売り上げは圧倒的に上回っています。

また店舗数が少ないことでローコストオペレーションが可能となり、人的資本を集中することができ、結果として利益率の高い経営になっているのです。

スーパーの約5倍という「坪効率」の秘密

角上全22店舗の中で売上高トップは、東京の小平市にある角上魚類小平店です。西武新宿線の小平駅から徒歩で20分程度。新青梅街道沿いにあるこの店は、完全なるロードサイド型店舗。ほとんどのお客さんは車で来店します。

平日昼間でも小平店の駐車場はほぼ満車状態
筆者撮影
平日昼間でも小平店の駐車場はほぼ満車状態

敷地面積が約300坪(990平方メートル)で建物面積が約150坪(495平方メートル)です。

売場面積は120坪弱で、残り30坪程度をバックヤードとして使っています。魚屋さんとしては大きな店ですが、食品スーパーなどと比べれば小さな店舗です。これで年29億円を売り上げています。年間坪あたり売り上げ(年坪効率)は2400万円(売り場120坪計算)以上です。

一般的には繁盛している食品スーパーの年坪効率は500万円程度です。その約5倍を小平店は稼いでいます。駐車場160台を確保していても渋滞が起こるのも分かります。

大みそかには午前5時の開店から閉店まで約1万1000人が来店すると言いますから、小さな百貨店よりも集客していると言えます。

50種以上の魚が並ぶ

角上小平店の「繁盛ポイント」は以下の4つにまとめられます。

【繁盛ポイント1 刺し身一番店】

角上の一番単品は何といっても刺し身、そして寿司でしょう。刺し身の鮮度、味には定評があり、仕入れ力がもっとも表れていると言えます。魚屋さんは何といっても刺し身の商品力で決まります。

角上では毎朝、東京・豊洲と新潟の市場にいる鮮魚専門のバイヤーが仕入れ内容を決め、それぞれの水揚げ状況を共有し、買い付ける魚を決めています。結果として鮮魚売り場に50魚種以上が並ぶことも珍しくありません。

通常20種もあれば良い売り場ですが、その倍以上をそろえます。新鮮なネタをこれだけそろえていますので近くの飲食業者も日常的に角上に仕入れに来るほどです。コストコよりも少量販売して、珍しい魚種もあるため業者利用も多いのだと思います。