チラシよりもサービスデー
【繁盛ポイント3 チラシを打たない】
「折り込みチラシは完全な無駄だと思っている」(栁下浩三・創業者兼名誉会長)とのことでチラシは打たないのです。
基本的にお客が店で鮮魚や総菜といった商品の質や価格を見て、買って、家で食べて、角上にまた行こうと思ってもらうのが店の基本と考えているからです。特に仕入れや店舗担当者には「食べておいしいものだけを売ろう」ということを伝え続けているそうです。
一方で、いつも使っていただいていることへの感謝の気持ちとして月に1回、「角上の日」という感謝デーを設けています。10年前からの取り組みで、全店舗の商品が10パーセント引きになるサービスです(12月を除く。対象外商品もあり)。
通常は割引を一切せず適正価格で販売し、月に一度だけお客にご奉仕価格で提供する。
これだけをきちんとまわしていけば固定客ができてリピートしてくれるのですから、非常に効率のいい経営と言えます。チラシを打ったり通常値引きしたりする費用をかけず、その分、質のいい商品を仕入れることにお金をかけていることが角上の商品力につながっているのです。
スーパーではなく大きい魚屋さん
【繁盛ポイント4 対面で人が売る】
角上が目指すのは、お客に「魚屋さん」と親しみを込めて呼ばれる店です。
店に足を運んでくれたお客のために、魚の調理方法を提案し、さらに調理の手間を省く「身おろし」のサービスもあります。
こうした接客を繰り返していけば、もともと魚好きの日本人に魅力を感じてもらえると考えているのです。だから角上の鮮魚売り場は、対面販売なのです。
商品補充をしながら接客する人、身おろしの注文を受けて番号札を渡して、おろした魚をお客に渡す人、今日入った魚を大声で案内する人など、売り場のあちこちで威勢のいい魚屋さんの掛け声が響いています。
角上は「人」を感じる魚屋です。これは同社の組織図にも表れています。組織図には店舗運営の営業部の中に育成指導課という課があります。
角上では、新入社員一人ひとりに、経験先輩社員をパートナーとして配属し、一から教える指導パートナー制度を導入しています。社会人としてのマナーや接客方法、心得、必須となる魚のさばき方もできるまで丁寧に教えるのだそうです。この教育システムによって、新人でも早期育成が可能となり、店舗や仕入れで活躍する若手社員が育っています。