結果的にコンビニは大成功したが、地域の商店街はスーパーではなくコンビニに駆逐されてしまい、しかもコンビニは運営コストが高いため安値販売ができず(コンビニは原則として定価販売だった)、消費者も高額な買い物を強いられた。今になって自治体が積極的に外資系の大型店舗を誘致しているのは、守るべき商店がもはや消滅してしまったからにほかならない。

地方で人口流出が起きる本当の原因は?

確かに一部の地域ではコストコ出店が大きな効果を発揮しているが、一方では、他地域からも顧客が押し寄せ、道路の渋滞が慢性化するなど、店舗誘致による弊害も出てきている。加えて言うと同社は外資系ということもあり、本社の意向で一気に事業計画が変わるリスクもある。

便利なお店が少ないことは地域から人口が流出する原因の1つにはなり得るが、根源的なものとは言い難い。最大の問題は、雇用がなく、あっても低賃金であることや、子育てや教育など、ソフト面でのインフラが不十分なことである。

場所にもよるが、価値観が多様化している今の時代にふさわしくない文化がいまだに残っているところもあり、こうした地域にはいくらハードのインフラを整備しても決して人は集まらない。ハコモノでの地域振興に限界があることは既に分かっていることであり、誘致するにしても、あくまでツールの1つでしかないという割り切った対応が必要だろう。

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら
【関連記事】
だれが何をやっても日本円は紙くずになってしまう…日銀総裁が「東大の経済学者」となった本当の理由
PayPay、楽天、ドコモ、au、イオン「5大経済圏」を徹底比較…結局一番得するのはどこか
一等地の美容室はなぜ低い売上でも潰れないのか…商売を長年維持するために重視すべき"たった1つの数値"
これから世界中のマネーが日本に集まる…エミン・ユルマズ氏が「いまこそ日本株が買い」と断言する理由
米国では定番商品ですらない…サーティワン14年連続1位「ポッピングシャワー」なぜ日本だけで人気なのか