生成AIは「2023年の最大の話題」になった
さらに、メタの具体的な新しい取り組みとして、「短期的には、クリエイティブで表現力のあるツールを構築することに焦点を当てます。長期にわたって、さまざまな方法で人々を助けることができるAIペルソナの育成に焦点を当てます」と発表しています。
アマゾンやマイクロソフトでは、クラウドサービスでAIに対するユーザーへの支援を公表しています。特にアマゾンでは、23年4月にベッドロックを発表し、生成AIの分野でマイクロソフト、グーグル、アマゾンの3社が出そろいました。
テスラからはまだ具体的な発表はありませんが、GMがチャットGPTのような機能を運転者向けに開発しているというニュースが報じられており、テスラもGMに対抗するような何らかのAIを利用した機能を考えているのではないでしょうか。
ビッグ・テック以外からも、たとえば画像編集や動画編集などのグラフィック処理に関するソフトウェアを販売するアドビ(AdobeInc.)が、画像生成AIを利用した新しいサービス「ファイヤーフライ(Firefly)」の提供を開始しています。
23年のテック業界の最大の話題は、このチャットGPTに代表される生成AIになることは間違いないでしょう。生成AIを自社サービスに取り込んだり、何らかの接点を持ったりしなければ、ビッグ・テックも他の企業に取って代わられる可能性があるのです。
MSがいち早く「ビング」を提供できた理由
チャットGPTのサービスを公開したのは、米サンフランシスコにあるオープンAI(OpenAI)という企業です。
このオープンAIという企業は、先述のようにオープンAILP(OpenAILP)という営利法人と、その親会社である非営利法人のオープンAI(OpenAIInc.)の2つからなる会社ですが、もともと起業家で投資家のサム・アルトマンと、テスラのCEOであるイーロン・マスクらによって2015年に設立されています。
その後18年にイーロン・マスクはオープンAIを離れ、代わって翌19年にマイクロソフトが10億ドルの出資を行っています。さらに23年1月には、やはりマイクロソフトが100億ドルの出資を行い、これによってマイクロソフトはオープンAIの49%の株式を取得しています。
マイクロソフトが検索にいち早くチャットGPTを盛り込み、「新しいビング」としてサービスを提供できたのは、そのためだと考えてもいいでしょう。