回答は「過去のデータ」に基づいている

テキスト生成AIが画期的なのは、膨大な量のテキストをもとに、自然な文章を作り出すことが可能になったことですが、これはインターネット上のウェブページや検索エンジンなど既存のコンテンツから無数のデータを収集し、それをもとにしています。

インターネットは情報を受け取るだけでなく、誰もが情報を送り出すことが可能で、情報の民主化を促進させました。それらの情報をもとに出てきたテキスト生成AIは、知見の民主化を促進します。誰でも疑問や質問をチャットGPTやビングに投げかければ、膨大な量のデータから導き出された答えを得られるのです。まさに知見の民主化です。

ただし、テキスト生成AIがもとにしているデータは、過去のデータです。たとえば、GPT3.5をベースとする無料版のチャットGPTに、つい最近の事件や出来事を尋ねても、正しい答えを返してはくれません。GPT3.5は2021年までのデータで学習させているため、それ以降についてのデータは学習していないのです。

確かに人工知能、テキスト生成AIは画期的で素晴らしい技術ですが、だからといって万能ではないのです。

AIが不得意にしている「4つの仕事」

人工知能の出現で、仕事がなくなるといった意見がありますが、そんなことはありません。

かつて工場の機械化で、それまでの作業員の仕事がなくなった、といったケースは何度もありました。しかし、だからといって大量の作業員が街にあふれたままなどということはなく、必ず新しい技術に対応した次の新しい仕事が生み出されてきました。

まったく同じように、テキスト生成AIや人工知能によって、一時的に仕事がなくなるケースもあるでしょう。しかし、これらのAIによって新しく生まれてくる仕事もあります。

AIは過去や正解があるもの、前例があるものといった問題に対して答えを出すのが得意です。逆に未来のこと、正解がないもの、前例がないもの、直感や感性といったものが不得意で、こちらは人間のほうが得意な分野です。

AIが得意な分野はAIに任せ、人間はAIが不得意とする分野で、AIを使いこなしながら問題を解決し、未来を作っていくことができます。