ChatGPTに代表される「対話型AI」の台頭が、グーグルに圧力を加えつつある。立教大学ビジネススクールの田中道昭教授は「グーグルは検索エンジンで93%のシェアを持っているが、対話型AIがこの市場を破壊する恐れがある。グーグルが自社の対話型AI『バード』を慌てて公開したのも、そうしたリスクを考えていたからだろう」という――。

※本稿は、田中道昭『GAFAM+テスラ 帝国の存亡』(翔泳社)の第2章「グーグルの検索ナンバーワンの時代は終焉か?」の一部を再編集したものです。

世界のスマホ利用者7割以上がアンドロイド

インターネットを利用するとき、多くの人が利用しているのが検索サービスや無料の電子メールサービスでしょう。この毎日利用している検索サービスや電子メールでは、多くのユーザーがグーグルが提供しているサービスを利用しているのではないでしょうか。

グーグルの検索画面
写真=iStock.com/dem10
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あるいはスマホ。スマホには、アップルから発売されているアイフォーン(iPhone)のほか、アンドロイド(Android)というOSを搭載したスマホと、その他のOSを搭載するものとがありますが、このアンドロイドというOSもまた、グーグルが開発したモバイル用のオペレーティングシステムであり、アンドロイドOSのスマホを利用するためには、グーグルが提供しているGメール(Gmail)がほぼ必須となっています。

自分はアイフォーンを利用しているから、アンドロイドやグーグルはあまり使わない、と思っている人もいるでしょうが、世界で利用されているスマホのシェアを比較すると、アイフォーンが27.1%であるのに対し、アンドロイドが72.27%となっています(図表1)。その他のOSのものはごくわずかで、全体の7割以上がグーグルが提供するアンドロイドスマホとなっているのです。

アンドロイドもユーチューブもグーグルが買収した

もっとも、アメリカと日本だけは例外で、アメリカではアンドロイドが42.61%、アップルが57.06%とほぼ二分。日本はもっと極端で、アンドロイドが31.39%、アップルが68.5%と、世界とは真逆の結果になっています。

世界のスマホで最も利用されているアンドロイド、言い換えれば世界で最も利用されているスマホ用OSこそ、グーグルが開発・配布しているアンドロイドなのです。

ただし、もともとアンドロイドはアンドロイド社が開発したもので、これを2005年にグーグルが買収し、07年にグーグルが中心となって米クアルコムと、キャリア大手のT-モバイルなどと規格団体を設立して、スマホ用OSとして発表したものです。そのため、アンドロイドそのものはオープンソースソフトウェア(著作権の一部が放棄されたソフトウェア)として以後、開発・配布されています。

グーグルは、ときどきこのような企業買収を行うことで成長してきました。たとえばユーチューブ(YouTube)。今でこそ動画投稿サイトといえば、真っ先に思い浮かぶのがユーチューブですが、このユーチューブは05年にスタートアップ企業として設立された小さな会社でした。これを06年にグーグルが買収し、以後、グーグル傘下の動画投稿プラットフォームとして、現在約25億人を超すユーザーを集めています。