ChatGPTに向く業務、向かない業務はあるのか
ChatGPTに質問を入力すると、事前に学習した膨大な知識に基づき、質問に対する回答をわかりやすく提示してくれます。そのため辞書および質問応答システムとして活用できます。
また、質問を工夫すればチャット以外のさまざまな処理も可能です。例えば、高品質なテキスト処理エンジンとしても活用できるので、「以下はとあるソフトウエアの利用規約です。日本語で要点を3つまとめて列挙してください」と指示を書き、続いてデータとして英文の利用規約を入力すれば、情報の抽出、テキストの要約、言語の翻訳をまとめて実施してくれます。
さらに、日本語や英語などの自然言語に限らず、文字の列であれば何でも扱えるため、プログラミング言語や音楽のコード進行なども生成したり理解したりできます。
このようにChatGPTに代表される大規模言語モデル(LLM)は、人間の思考や判断の背景が言語だからこそ、さまざまな業務で活用でき、効率化をもたらします。
図表1はLLMの活用範囲をまとめたものです。
ChatGPTをビジネスに適用するための論点は、どのような職業に使えるのか、あるいは使えないかといったことではありません。誰もが使う言語に関するAIだからこそ、誰にだって使える可能性がある。自分の職業に照らして、全員が自分のことだと捉えて考えてみることがとても重要なのです。
ChatGPTをうまく使いこなすために
ChatGPTは誰もが手にでき、誰もが利用できるツールであり、誰の仕事にも役立ちます。それだけに、自分の仕事での利用用途を早く考え出せる人が有利になるわけです。
ところが、ChatGPTにできることが多く、インプットとアウトプットが共に言語であり、ある人にとってはインプットであっても別の人から見るとアウトプットであるため混乱しがちです。そこでおすすめするのは、図表2のように、自分(人)を軸に置くヒューマンセントリックな視点で、インプットとアウトプットに分けて考えること。これならChatGPTをどのように使っていけばいいのかを自然に導き出せます。
営業職であれば、インプットでは過去の提案案件情報の集約に役立てられるでしょう。また、アウトプットでは、その集約した情報を基に新たな提案書の原案作成を指示することで、作成の負担を軽減しつつ精度の高い提案書を早く作れるようになります。
別の職業についても考えてみましょう。ライターの場合、インプットは取材のための勉強や質問に漏れがないか確認するのに使えます。一方で、文章を生成するアウトプットも重要な仕事ですから、その支援にもChatGPTは有効です。