もとより、ヤフージャパンニュースやスマートニュースは、多くのニュースが新聞社発であることを忘れてはならない。
ネット上でフェイクニュースや誹謗中傷があふれる中、正確で安心できるニュースや情報を提供する新聞社への期待が大きいことがよくわかる。
新聞が産業として衰退しても、新聞社の存在意義は、以前にもまして重要性を増しているといえる。
いつまでも「紙の新聞」にこだわるべきではない
ところが、この期に及んでも、新聞各社は、ネット事業への本格的な取り組みに及び腰だ。いまだにネットにおけるビジネスモデルが確立できず、あえいでいる。
いち早くネット事業に進出した日経新聞だけは電子版の有料読者が83万人を数えて採算ベースに乗ってきているが、朝日新聞はデジタル版の全記事を有料化したものの会員は25万人程度に低迷。読売新聞や毎日新聞のデジタル版は、読者サービスの域を出ていない。地方紙はさらに厳しい状況に置かれている。
新聞社は150年におよぶ歴史の重みと成功体験のくびきからなかなか解放されずにいる。
夕刊の存在意義がますます薄れゆく中、夕刊を目にすることがなくなる日はカウントダウンに入ったといってもいい。発行部数が激減し、広告費も縮小する中、このままでは夕刊どころか朝刊まで消える新聞が出てくる日は近いかもしれない。
かつてエネルギー分野で石炭から石油へ、交通分野で鉄道から自動車へ、と主役が交代したように、メディアの世界でも新聞・出版の印刷メディアからネットメディアに主役が交代しつつある。即時性、双方向性、蓄積性、検索性などさまざまなメディア特性でネットメディアが優っている以上、歴史の必然ともいえる。
5~10年先を見通したとき、新聞社が活路をネットに見出さざるを得ないことは自明だ。紙の新聞が脇役になっても、新聞社がネット時代にふさわしいニュース発信のあり方を築くことができれば、ジャーナリズムの主役であり続けられるに違いない。