残る地方紙・ブロック紙で夕刊の発行を続けているのは、河北新報(宮城)、東京新聞、新潟日報、北國新聞(石川)、信濃毎日新聞、中日新聞、京都新聞、神戸新聞、西日本新聞(福岡)など数えるほど。5万部に満たない新聞も少なくなく、いつ休刊してもおかしくない状況が続く。

全国紙も、産経新聞がいち早く、2002年3月に東京本社発行の夕刊を廃止。その後、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、日経新聞も、発行部数の少ない地方を中心に、夕刊の発行エリアを次々に縮小してきた。地方紙の夕刊廃止に伴い、地方紙に委ねてきた宅配がままならなくなったことも大きかった。

そして今春、ついに三大都市圏にまで、その波が広がったのである。

大阪、東京エリアの休刊は時間の問題

朝日新聞の社内からは「28年にもすべての夕刊を廃止」「30年には夕刊の仕事がなくなっている」といった悲観論が聞かれる。

これに対し、読売新聞は、山口寿一社長が年頭の業界紙インタビューで「都市部を中心に夕刊のニーズは今も確実にある」としたうえで「事実を確定し、正確に表現するというストレートニュースにこだわって、今後も夕刊をニュースメディアとして発行していく」と決意を語った。

さらに、3月25日には、「本紙は値上げしません」と明記した社告を出した。新聞用紙代の値上がり分も新聞社で吸収するという。購読料改定にあたって「値上げする」という社告は見かけるが、「値上げしない」というのは珍しい。夕刊の伝統を死守しようという心意気が伝わってくる。

ただ、この機に乗じて、苦境にあえぐライバル紙の顧客を奪おうという思惑も透けて見える。だが、かつてと違って、他紙へ乗り換えるのではなく、新聞の購読そのものを止めてしまう読者が続出。「顧客争奪戦」はもはや死語で、今や「顧客つなぎ止め戦」に様変わりしてしまっている。

購読料据え置きの社告もよく読めば、「少なくとも1年」という期限付き。裏を返せば、1年後には「値上げする」と宣言しているようにも映る。そのあたりも、賢明な読者は容易に察しそうだ。

ネットでは新聞発の情報が求められている

では、新聞を衰退に追いやったネットでは、ニュースはどのように読まれているのだろうか。

ネットの視聴状況を調査するニールセンデジタルの「ニュース総合ランキング」で、スマートフォン(アプリ利用も含む)からの月間平均利用者数(22年1~10月)をみてみると、トップはヤフージャパンニュースで3720万人、2位はスマートニュースの2605万人とネット専業のニュースサイトが占めるが、3位に朝日新聞デジタル1306万人、4位読売新聞オンライン917万人、5位日経電子版815万人、9位毎日新聞デジタル631万人と、上位10傑に4紙がランクインしている。