「いつまでもあると思うな親と金」――50歳を超えると親も年を取り、この言葉も現実味を帯びてくる。今回は、結婚後も“親の金”をアテにしてきた50代半ばの妻が、「夫の収入減」と「親の急病」のWパンチを受け、窮地に陥ったケースを紹介。2万6000件以上の家計を見てきた家計再生コンサルタントの横山光昭さんは「理由が何であれ、50代で収入打撃を受ける人は少なくない」という――。
ドレッサーでメイクする女性
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年間200万円以上の援助でも、貯蓄は55歳で300万円

会社員の河上陽介さん(仮名・55歳)の妻・朱里さん(仮名・55歳)は、結婚後も親から経済的援助を受けています。そのため、自分たちの実収入額に合わない金銭感覚になってしまい、浪費を続けています。陽介さんは「この状態はいつまで続くか分からない。今こそ家計改善を」と、妻を連れて来訪されました。

早速、陽介さんが管理してきたという家計簿を拝見しました。

手取り月収は、陽介さんが41万円。朱里さんは専業主婦ですが、親から譲り受けたアパートの家賃収入が月8万円あり、合わせて49万円です。以前、購入した分譲マンションのローンが月7万円弱あり、大学受験を控える長男と高校1年生の次男もいますが、現状はなんとかやりくりできるように見えます。

ところが、そうでありませんでした。支出は月54万3000円程度で、5万3000円程度の赤字が常態化していたのです。なぜこれほど赤字が出るのか? 内訳を見てみると、理由は一目瞭然。夫の陽介さんが心配したように、元凶は朱里さんでした。

「平日はがんばって作っているんだから、土日くらいは外食したい!」との朱里さんの言い分から、食費は月11万円と高め。そのほか朱里さんは自分の小遣いとして月5万円(夫は4万円)、そのほかに美容と健康のためのサプリや鍼灸のお金として月3万円。明らかに惜しみなく消費する朱里さんの浪費癖がくっきりと浮かび上がってきました。家庭内の力関係は明らかに朱里さんにあることがうかがえました。

実は朱里さんには、いわゆる“太い実家”がありました。朱里さんの父は関西の主要都市で会社を経営するほか、アパートもいくつか所有。朱里さんはそのうち1室を実家から譲り受け、毎月8万円分の家賃収入を得ています。

これまでも住宅購入時に1500万円の資金援助を受けてきましたが、そのほか、「生前贈与は110万円まで無税だから」との親の考えから、高校3年生の長男、高校1年生の次男にも年間100万円ずつ、もらい続けていたのです。その200万円は、二人の子どもの私立高校の学費(2人分で100万円程度)のほか、家族の小遣いなどに消えています。

さらに、朱里さんは息子の趣味である音楽の楽器代やコンサート代、さらに自分が着る服飾代なども現物で“援助”してもらってきました。

朱里さんは“太い実家”から、アパート家賃収入として年100万円弱(8万円×12カ月)だけでなく、毎年、生前贈与200万円プラスα、計300万円程度もの“不労所得”をゲットしていたのです。

一方、陽介さんは堅実な家庭に育った背景から、妻が浪費する傍ら、自身のボーナス年100万円から少しでも貯めるようにしてきました。しかし実際は、毎月の赤字が響き、相談時の貯金額は約300万円。子供2人が私立大学に進学した場合、学費は4年間で少なくとも400万円程度、これを2人分となるのでとても追い付きません。