「実家の援助は今後も続く」という根拠なき自信

そこで、外食の回数や小遣いを減らすなりして、教育費を貯めることを提案。しかし、強くうなずく陽介さんの横で、朱里さんは「そんなにがんばらなくても。いざとなればウチの親が出してくれますから」と、いたって楽観的です。

「では、もしご実家の援助がなくなったら、200万円以上の穴埋めはできなくなりなすね?」

朱里さんにそう問うと、「う~ん。でも不動産を持っているから、資産が底を突くことはないと思うんですよね~」と。かくして、こちらがいくら家計改善を進めても、朱里さんのモチベーションは上がらず、平行線が続きました。

100万円以上はある札束を数える女性の手元
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夫の手取りが減り、実家の援助も打ち切りに

そんな矢先、夫婦に大きなピンチが訪れました。

一つは、陽介さんの勤務先が経営不振になり、月の手取りが4万円も減ったこと。そして時を同じくして、朱里さんの父親が玄関先の段差でつまずき、骨折入院。80歳を超えていた父親は、骨折療養を機に一気に衰弱しました。さらに認知機能も低下して要介護状態になってしまったのです。

朱里さんの母は夫の介護に明け暮れるようになり、その影響で自身も腰痛が悪化するなど体調不良に。朱里さんは一人娘として家事のサポートや両親の介護をするようになりました。

そして、ついに母からは援助打ち切り宣言。「今後、私たちは夫婦で施設に入ることも検討している。悪いけど、もうこれまでのように援助することは厳しいかもしれない」――。年間200万円もの援助や物品などをアテにできなくなったどころか、逆に、朱里さんが実家に食品や日用品を差し入れするなど出費がかさみました。これまで両親から「与えてもらう側」だったのが、立場が逆転したわけです。

「いつまでもあると思うな親と金」。朱里さんはきっとこの言葉をかみ締めたことでしょう。