子供の「うん、わかった」は実は伝わってない

息子がまだ小学生だったころ、ちょっとした悪さをしたときに、注意をしました。それで最後に「わかった?」と尋ねました。

すると息子が、「うん、わかった」と答えたので、「じゃあ何がわかったのか、パパに教えてもらっていい?」と言ってみたのです。息子の答えは、「わかんない」「もう一度説明するね。……。わかった?」「わかんない」どうやら息子に伝わっていないようなので、「じゃあ、パパの言うことの何がわからないのか、教えてもらっていい?」すると息子は、「パパのいうことが難しくてわかんない」と言ったのです。

母親に叱られて体を縮ませている小学生男児
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こうしたやりとりの結果、息子は注意を聞いていないので説明できなかったのではなく、私の話が難しくて理解できないので説明できなかったことがわかりました。そこで再度説明するときには、話を分解して短くし、一つずつわかっているのかを確かめながら話したところ、何を理解できたのかをちゃんと説明できるようになりました。

私が、息子に話が伝わっていると勘違いして、最初の「わかった」という彼の返事を鵜呑みにしていたら、何も伝わらないままだったんです。子供には、じつは伝わっていないということはよくあります。大人がいう言葉の意味がわからない、内容が難しくてわからない、なぜだかわからない、自分はそういうふうに考えたことがなかった、自分はそう思わない、違うことと勘違いしていた……。

王道は「伝える→体験→振り返る」という順番

子供の「わからない」の理由はいろいろありますが、これは子供だけに限った話ではありません。誰が相手であっても、「じつは伝わっていない」ことは多いものです。それをお互いの経験で補いながら、なんとかすり合わせている状態なのです。

すり合わせを簡単にするには、相手の知識や理解度に合わせて軌道修正してもいいのです。ピンときていないようなら、わかりやすそうなたとえ話をしてみる。そのたとえ話でもわかりづらそうなら、別のたとえ話をする。そうしなければ伝わらない話はたくさんあります。

話が伝わりやすくなるように、できるだけ身近な経験や有名人のエピソードを使って、理解度をすり合わるためなんです。伝えるときの王道は、『伝える→体験→振り返り(気付き)』の順です。

「◯◯をこんなふうにやってみてくれる?」「ありがとう。やってみてどうだった?」「さらにこうすると、もっとよくなるよ」と、まず伝えてからやってもらい、気づきを促し、必要ならフィードバックをします。しかし伝えたいことに予備知識や体験のないとき、難解なテーマや日常を離れた内容を伝えるときは、『体験→振り返り(気付き)→伝える』の順が、伝わりやすくなります。