重心を上げれば腹はひっこむ

重心が下がると、どうなるのでしょうか。

まず、肋骨と骨盤の間のすきまが狭くなります。行き場を失ったお腹のお肉は前に突き出るしかなくなり、内臓も押しつぶされて前に出てしまいます。だから体重が増えたわけではないのに、お腹がぽっこり出てしまうのです。

もし、「体重の調整をしてもお腹だけは引っ込まない」という方がいたら、体の重心に目を向けてみてください。逆に、重心を上げて肋骨と骨盤の間を広げると、体重を減らさなくても、自然に腹筋が使えて骨盤が立ちやすくなり、お腹はへこみます。

ここで気をつけて頂きたいのは、「重心を上げる」と言っても、がんばって引っ張り上げる必要はないということです。がんばって体に力を入れるのは絶対にやめてください。

肩甲骨をグッと寄せて、ピンと胸を張った姿勢は、いかにもグーっと体が上にあがっているようなイメージかもしれませんが、実は逆です。

胸を張るのは逆効果

胸を張ってしまうと、その反動で腰は大きく反ってしまいます。体に力を込めないとバランスが取れなくなり、筋肉に必要以上の負荷がかかってしまいます。筋肉に余計な負荷がかかると、筋肉の動きが制限され、重心を上げるのとは逆の作用が働いてしまいます。

内臓は上から下へと押されてしまい、機能が低下します。「胸腔きょうくう」という、肋骨や横隔膜などで囲まれた空間に左右の肺がおさまっていますが、この胸腔がつぶれてうまく広がらなくなってしまいため、呼吸も浅くなってしまいます。

胸を張ってがんばる姿勢は、体に良いことは一つもありません。疲れて、体に負担をかけて、スタイルも悪くなってしまう残念な姿勢です。

体の重心を上げるための近道は、固くなってしまった背中の筋肉をゆるめることです。筋肉をゆるめて骨や内臓を本来のポジションに戻すことが大切です。背中がゆるんで骨が正しいポジションに戻ると、自然と重心も上がるからです。これだけで見た目がガラリと変わります。

老化や肥満のせいだとあきらめないでください。ただ重心が正しい位置に戻るだけで、二の腕や太ももは細くなり、お尻は小さくなります。私が主宰するウォーキングスタジオでも、たった3カ月でパンツがワンサイズダウンした生徒さんがたくさんいます。