動脈硬化になったら血圧は高めがよい

むしろ、動脈硬化が進んだ人の場合、血圧や血糖値を下げる治療は逆効果です。

ただでさえ壁が分厚くなり硬くなり、狭くなっている血管内の血圧を下げて血流を弱くするというのですから、血流は滞りがちになってしまうでしょう。その結果、血液内の酸素や栄養成分が全身の細胞に十分に行き渡らなくなります。

血糖値や血圧を下げる薬を飲むと、なんだかぼーっとしてしまう、集中力ややる気が出なくなる、という人が少なくありませんが、当然の副作用といえるでしょう。血流が滞りがちになると、真っ先にダメージを受けるのが脳です。

酸素や糖分が脳に届かなくなるので、低酸素、低血糖の状態になります。血圧や血糖値を下げて動脈硬化を防ぐどころか、かえって意識の混濁などを招きかねないということです。当然、認知症などのリスクも高めることになります。

動脈硬化になっていない若い人であれば、動脈硬化を予防するために血糖値や血圧を低めにコントロールすることは健康促進のために有効でしょうが、ほぼすべての人が動脈硬化を起こしているような高齢者の場合は、血圧や血糖値を高めにコントロールしたほうが、健康は保たれるはずだと私は考えています。

コレステロールで免疫機能をアップ

血圧、血糖値と並んで、高いと槍玉にあげられやすいのがコレステロール値です。しかし、コレステロール値をむやみに下げることは禁物です。なぜなら、コレステロールは免疫細胞の材料となることから、これをやたらと下げてしまうと免疫機能の低下につながりかねないのです。

むしろ、高めのコレステロールのほうが、がんで死ぬ人が少ないという調査データもあるほどです。

コレステロールは免疫細胞の材料となるだけでなく、男性ホルモンの材料にもなっています。コレステロールを減少させることは男性ホルモンの減少につながります。男性ホルモンが減ると、筋力が低下するほか元気や意欲も低下します。

高めのコレステロールのほうが免疫機能もアップし、男性ホルモンも活性化される。にもかかわらず、なぜ高めのコレステロール値が目の敵にされてしまうのでしょうか。

それは、アメリカの治療方針をそのまま日本に当てはめているからです。

たしかに、アメリカ人の死因の第1位は心疾患です。そのため、血圧や血糖値、コレステロール値を下げることが動脈硬化による心筋梗塞の予防となり、長生きにつながる人が大勢いると言えるのです。

よく食べ、よく動き、男性ホルモンを活性化させる

一方で日本の場合、死因の第1位はがんです。がんを予防するには、栄養や酸素を全身に十分に行き渡らせ、免疫機能を高めておくことが大切です。

それなのに、アメリカのマネをしてコレステロールや血圧を下げるようなことをしていたら、がんを発症する人を増やすことにつながりかねません。アメリカが成功しているからといって、やみくもに同じ治療基準を取り入れるべきではないのです。

つまり、血圧や血糖値、コレステロール値を下げることで、動脈硬化のリスクは下げられることがあるでしょう。しかし、高齢になれば、どんなに気をつけても動脈硬化は避けられません。そうであれば、免疫力を低下させたり、脳にダメージを与えかねないような数値を下げる治療が、高齢者にとってふさわしいものかどうか、よく考えてみてください。

数値が多少高めでも気にしない。自分の免疫力アップのために、よく食べ、よく動き、男性ホルモンが活性化するようなエネルギッシュな日々を送る。

そのほうがよほど、医者いらずの生活に近づけるだろうと思っています。