健康診断の数値はどこまで気にするべきか。医師の和田秀樹さんは「血圧・血糖値・コレステロール値を下げても、日本においてそれが長寿につながったという研究データはない。薬を飲んだり、薄味のご飯を食べて血圧下げるより、しっかりと高タンパクの食事をとって血管を太く丈夫にするほうがよほど理にかなっている」という――。

※本稿は、和田秀樹『70歳からは大学病院に行ってはいけない』(宝島社新書)の一部を再編集したものです。

さまざまな生の新鮮な肉・魚
写真=iStock.com/Yulia Gusterina
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高齢になるほど治療は「引き算」で考える

第1弾では、大学病院の臓器別診療の弊害として、臓器ごとの数値データに基づいてバラバラに治療をしようとするために、薬の量が膨大に増えていくということを指摘しましたが、高齢になってきたら飲む薬の量は見直すべきです。

治療はできるだけ引き算で考えましょう。若い頃には代謝できていた薬でも、高齢になって腎臓や肝臓の機能が低下してくると、薬の成分を取り込み排出する機能も低下していきます。大量の薬を飲みすぎて、かえって体を壊しては何にもなりません。

そもそも、血圧を下げるとか血糖値を下げるという薬によって数値が下がったとしても、それが長寿につながるのかというと、日本においてそうした研究データはまったくありません。

正常値というのは全世代の平均値であって、その値であれば健康に長生きできるという数値ではないと第2弾で述べました。ところが、いまだに日本の多くの医者は正常値主義にとらわれています。

さらに、血圧や血糖値、コレステロール値、赤血球の数など、病気との因果関係が認められているものはありますが、それにしても、どれくらいをその人の「正常値」とすべきかは、判断が微妙な部分でもあります。

全世代の平均値を高齢者に当てはめるのはそもそも無理があるということに加えて、全体的に高齢者は高めのほうがよい、という場合も少なくないからです。