T-54/55を修理するための部品は豊富で安価
軍事情勢に関する公開情報を分析するオランダ拠点の「オリックス」によれば、ウクライナで戦争が始まってから、1871台のロシアの戦車が破壊、損傷、放棄、または捕獲されているという。
バルト海安全保障財団の上級防衛専門家グレン・グランドは本誌の取材に対し、たとえ古い戦車であっても、ロシア軍にとっては有用だと述べている。「建物が密集した地域にいる場合、大きな砲を持つ戦車は破壊しておく必要がある。その砲弾を受ければ、建物の壁は破壊されてしまう」
「こうした戦車が大量に投入されたり、10台や15台のグループを組まれたりした場合、対抗手段を持たなければならない」。ただし、これらの戦車に乗る兵士は「簡単に殺されるだろう。なぜなら装甲が不十分な戦車だからだ。それでも、重火器であることに変わりない」と、グラントは言い添えた。
米国のシンクタンク、戦争研究所(ISW)は3月22日、ロシア軍は装甲車の不足を解消するため、ソ連時代の戦車に頼ろうとしている可能性があると指摘した。「なぜなら、T-54/55を修理するための部品は豊富にあり、ほかの戦車の部品よりかなり安いためだ」
ISWによれば、T-54/55には現代的な装備を搭載できないという。「ロシア軍は、これらの古い戦車をウクライナに投入することで、より多くの犠牲者を出す可能性が高い」
(翻訳:ガリレオ)
当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら