闇営業騒動の前からとっくに自分は破綻していた

改めて、思う。

闇営業の騒動が起こらず、今も吉本興業にいて芸人を続けられていたとしたら、どうだったろう。

僕は、今よりも幸せだったんだろうか?

騒動の前から、僕はとっくに破綻していた。周りの人にはそれがはっきりとわかっていた。僕自身も気づかないふりをしていただけだった。

それでも、僕は人に会い続けた。

会えない日はイライラした。一人ではいられないから、後輩たちを誘って飲むが、時間を無駄にしているような気がして、焦りばかりが募った。

「お前ら、何かいい情報持って来いよ!」と、後輩たちに当たった。

ネタを探して、人と会った。声をかけられれば、どういう方なのかもよくわからないまま、会いに行き、一緒に写真を撮った。あちこちで、僕との写真がSNSに上がった。

それを見た方から「入江さん、○○さんとも友達なんですね。僕もなんですよ」と言われても、僕は正直、どこの○○さんなのかさえわからなかった。顔すら思い浮かばなかった。

正気の沙汰ではなかったと思う。

それでも「全部が無駄だった」とは思いたくない

3年以上の時間をかけて、ようやくここまで振り返ることができた。

自分の愚かさには言葉もない。

冷静に振り返る中で、人脈とは本当にわからないものだと思うようになった。

太く固く結ばれている綱のようなものだと思っていたら、ちょっと先でぶっつりと切れてしまっていたりする。細く頼りない、いつ切れてしまうかわからない糸のようなものだと思っていたら案外、丈夫でしっかりと僕につながり続けてくれていたりもする。

そんな丈夫な糸が今の僕の手には握られている。

多くの方からは批判されるかもしれないが、「これまでのすべてが愚かで無駄なことだったとは思いたくない」という気持ちが頭をもたげているのも事実だ。

いい出会いもあった。今も僕の周りに残ってくれている人がいる。