労働組合という組織の力に完全依存すべきではない

では、二大政党制を念頭に置いたとき、与野党2つの政党の「色」や各政党が示す日本の「道」の違いを決定づけるものは何でしょうか。端的にいって支持層の違いです。

当たり前のことですが、政党や議員は選挙で有権者の支持を得られなければ勝てません。ですから野党が自民党に勝つためには、自民党とは違う支持層をつかまなくてはならないのです。

自民党は議員が地域を細かく歩き回り、有権者の支持を固めていきますが、その際に、自治会、PTAなど地域の有力者とのコネクションを最大限活用し、さらにあらゆる企業や業界団体とのコネクションも活用します。

このように、自民党は地域団体、業界団体の組織力に頼っているので、野党はこういう組織力に頼らない政党であるべきです。

この点、野党の立憲民主党や国民民主党は「連合」という労働組合の集合組織を頼りにしていますが、連合は現在、組織率が低下し、組合メンバーは投票先について組合の指示に必ず従う風潮ではないうえ、正規雇用者を中心に組織化されたものなので、労働者の4割を占める非正規雇用者はほぼ加入していません。

こんな状況では、野党は、労働組合という組織の力に完全に依存すべきではありません。

ネットやデジタル活用の票獲得が求められる理由

労働組合を排除する必要はありませんが、その代弁者のイメージを強く出してしまえば、組合に入っていない人たちの支持を強力に引きつけることができなくなります。今の立憲民主党、国民民主党の弱点です。

両党は連合とのつき合いが古いので、これまでと同じようなつき合い方をしているのでしょうが、それでは、組合員よりも圧倒的に数が多い、組合に入っていない無党派の人たちの支持を失うリスクがあることに気づいていない。

組合の意見をきちんと聞き、政策で一致するところは協力すればいいのですが、それ以上に組合から指示を受けているような印象を世間に発すべきではありません。

メガホンで群衆に語りかける男性
写真=iStock.com/slobo
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自民党が組織を中心とした層に支えられているのであれば、野党は非正規雇用者も含めた労働者全体や、個人事業主・フリーランスなど、特定の組織・団体に属していない有権者をメインの支持層にすべきです。

そうすると、自民党ほど業界団体、地域団体などの組織力を使えないので票を集めるのは大変ですが、これからの時代はインターネットを駆使して組織・団体力を上回る力で人のつながりをつくっていける時代です。

自民党が従来通り団体の組織力を活用するなら、野党は団体の組織力に頼らず、地道な地元活動に加えてネットやデジタルなどの新しい方法で票を獲得していくことを模索すべきなのです。