医療報酬にメスを入れる
現政権の問題点や至らぬ点を追及して政権交代をめざすというのは、野党政治家ならば誰もが考えていることでしょう。しかし、野党政治家の仕事はそれだけではありません。
たとえば、日本という国は現役世代に割かれる税金の割合が先進国中、最下位レベルです。
そこで現役世代の可処分所得を増やすべく現役世代に大量に税金を投入し、税配分の適正化をはかる。
また資産のある人の社会保険料の負担を増やす、年金給付額を減らす(資産額によってはゼロにする)。長寿社会となって元気な高齢者が増えたことから、年金支給開始年齢を引き上げる。
さらには、近年、増大しつづけている医療費の仕組みにもメスを入れ、保険のメカニズムを導入する。若く病気にかからず保険をあまり使わない人の保険料は下げ、1年間まったく保険を使わなかった場合には金一封を出す。
今、政権与党は、強力に票を集めることのできる日本医師会に配慮し、開業医の診療報酬を高くしていますが、それを難易度の高い医療行為に対して多くの額を出し、簡易な医療行為に対しては額を下げるようにする。
このように、数十年後の日本が国民にとってより暮らしやすい国であるよう、今からいろんな布石を打っていくというのも、野党が果たすべき役割なのです。自分が政治家でいる間の政権交代をめざすだけでは、あまりにも目先の利益にとらわれた政治姿勢です。
もちろん、今、挙げたような提案をしたら激しい反発にあうでしょう。しかしそれらにもめげずに信念のこもった主張を続ける政治家の姿に、有権者は、強い共感を覚えるのです。
こんなふうに、野党政治家が熱意と覚悟と迫力をもって、自民党が指し示す道とは違う新しい道、日本が本当に歩むべき道を確信的に示せたとき、初めて、既得権益層ではない多くの有権者から強固な支持を得ることができるのです。