小池都知事はなぜ選挙に強いのか。元大阪市長の橋下徹さんは「自民党は票田として頼りにしている業界団体から圧力を受けることによって、業界を守る規制・税制をつくる。一方で、小池都知事は支持層が異なるため、一般の有権者や将来世代を意識した政策を進めることができる」という――。

※本稿は、橋下徹『日本再起動』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

2020年4月26日、新宿アルタビジョンに映し出される東京の小池百合子知事
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有権者の将来利益を重視で「見えない票」を狙え

自民党と異なる「色」「道」を出すにあたって野党が重視すべきことは、いったい何でしょうか。僕は「有権者の現在利益」よりも「有権者の将来利益」を重んじることだと思っています。

たとえば「子育て世代を大事にする政策」と「高齢者を大事にする政策」を天秤にかけたときに、今まさに高齢者である有権者の票を失うリスクを冒してでも、日本の将来を担う子供たちを育てている人たちを大事にする政策を押し出せるか。

子育て世代を支えるために、高齢者には多少の負担を強いることになる政策の必要性を訴えることができるか。

ここで、現在利益を求める高齢者からの激しい批判を受けながらも、将来利益の実現に挑戦する野党であること、またそれに挑戦する姿を有権者に見せられる野党であることが、支持を限りなく拡大できるかどうかの分水嶺です。

現代の多くの有権者は、政治家の美辞麗句に乗せられるほど愚かではありません。いくら

「次世代のために」などと言葉を並べてみても、そこに本気で挑戦する心意気や具体的な政策が見て取れなければ、有権者はついてきません。

他方、与党の主な支持層は、現在利益の受け手である業界団体や高齢者、要するに既得権益層です。その点にはあまり賛同できないけれども、野党の挑戦する姿勢がまったく伝わってこないので、消去法的に与党に投票している――そういう若い世代の有権者も多いはずです。

したがって野党は、本気で日本の将来を考え、有権者の将来利益を重視する姿を見せなければなりません。これが、今の野党に欠けている点ではないかと残念に思います。