※本稿は、橋下徹『日本再起動』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
「政治マーケティング」はアメリカに学べ
もともとコンサルティング業が盛んなアメリカでは、政治でもマーケティングが当たり前に行われてきました。
古くは、ジョン・F・ケネディがマーケティングに長けていたことは有名な話でしょう。世論調査の専門家ルイス・ハリスと組んだことが、ケネディの勝利の一因だったといわれています。
ほかにも、たとえば2000年以降の共和党は、政治コンサルタントのカール・ローブと手を携え、いわゆるビッグデータをもとに選挙戦を展開してきました。
購読している雑誌から食品、衣類、酒、車、家、加盟しているゴルフクラブ、フィットネスクラブなど、有権者の消費活動を細やかに把握することで、より個々にダイレクトに届きやすいメッセージを発信できるようになり、それが勝利につながってきたのです。
共和党に少し後れをとるかたちになったものの、民主党でも2006年から有権者のデータを選挙に活用するようになりました。
そこから民主党の躍進が始まったといわれており、ついには最先端のマーケンティング技術を用いたバラク・オバマが大統領選を制することになりました。
有権者を議論に引き込むイタリア政党のマーケティング手法
政治において、データを用いたマーケティングが駆使されているのは、アメリカだけではありません。いっときのイタリアで一大勢力となった「五つ星運動」をご存じでしょうか。
人気コメディアンと企業家という異色コンビが設立した政治運動体による政治運動なのですが、彼らの支持の集め方は非常に斬新でした。
それは、ネット上のミーティングサイトで有権者と専門家が議論しながら政治家を輩出し、その政治家は、ネットミーティングで議論された内容をそのまま政治に反映させていく、というもの。
政治に不信感を抱いている有権者を議論に引き込んで支持を拡大していくというのは、同じく政治不信が強い日本の政治家にとっても非常に参考になるマーケティング手法です。