2022年の参議院議員選挙に初挑戦し、約170万票を集めて1議席を獲得した参政党がこの手法を用いました。

イタリアの五つ星運動は、このようにITを駆使した新しい手法で政治家を送り出し、その主張も、議員報酬削減、議員定数削減、企業献金禁止などと既存政党には見られなかった画期的なものでした。

それが、かねてより既得権益層に対する不満や政治不信を強めていたイタリア国民の支持を集めました。

ネットミーティングで輩出された政治家は、その決定に従わなくてはいけないというルールに対して批判する声も上がりましたが、五つ星運動はそのような批判をものともせずイタリア政界を担う一大勢力にまで一気に成長したのです。

この五つ星運動は有権者の支持をつかみ続けることはできず、22年の総選挙で惨敗してしまいましたが、既存の政党が有権者の支持を引きつけたわけではなく、「イタリアの同胞(FdI)」という、やはり既存の政党とは異なる政治をめざす政党が多くの支持を集めました。

演説する人
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政治マーケティングを構成する3つの要素

政治マーケティングには3つの大きな要素があります。

①民意を探る、②政治家のイメージアップをはかる、③支持者を組織化して拡大していく、の3点です。

日本では、①の民意を探るための世論調査的なものはこれまでも利用されてきましたが、まだまだマーケティングといえる代物ではありません。

②の政治家や政党のイメージアップをはかるものは、最近かなり利用されてきています。ポスターやビラのつくり方、またテレビ映りや演説の仕方について訓練を受ける政治家が増えてきました。

③の支持者を組織化するマーティングはほぼ手つかずで、自民党がやっと模索し始めたような状態ですが、新興野党の「れいわ新選組」が積極活用することで支持を拡大しました。

22年7月に行われた参院選で国政に初挑戦した「参政党」は、支持者拡大マーケティングで大成功を収め、約170万票の比例票を集めて1議席を獲得しました。

イタリアの五つ星運動の手法を巧みに取り入れたやり方です。ワンランク上の党費を納めた特別の党員には、党の意思決定に参加する権利をもたせています。

ただし、②を強化しすぎるのは好ましくありません。アメリカの政治マーケティングは、この点で甚だしく度を越しているように見えます。

なぜかというと、イメージ戦略の機能とは、あくまでも政治家を「よく見せること」であって、イメージ戦略そのものには政党や政治家の実力を向上させる効果はないからです。

つまり、②が過ぎると中身が伴わない虚像が独り歩きし、議員に相応しくない人物が当選するという結果につながりかねないのです。