進行が止まらない日本の少子高齢化。若年世代の圧倒的多数派は「結婚して子どもを持ちたい」「できれば2人以上」と考えているという調査結果もあるのに、なぜ晩婚化・非婚化が止まらないのか。話題の新刊『縛られる日本人』(中公新書)の著者、ハーバード大学ライシャワー日本学研究所のメアリー・C・ブリントン所長に話を聞いた――。
35~39歳の日本女性の未婚率は25%弱
『縛られる日本人』のベースとなった研究のきっかけは、日本の人口減少が非常に危機的なものにみえたことです。新しく生まれてくる子どもの数が減り、社会の高齢化が驚異的なペースで進んでいます。年金や医療費、福祉コストなどの公共負担は重くなる一方ですし、社会のエネルギーや活力、未来を構想する力にも、ネガティブな影響が及ぶ可能性があります。今日本で何が起きているのかを考察するのは、とても重要なことだと考えました。
40年前の日本では、ほぼ誰もが結婚して、子どもを持っていました。でも今日では、若い世代のかなりの割合が1人暮らしを続けたり、実家で親に養われて生活したりするようになっています。1970年には5%ほどに過ぎなかった35~39歳の男性の未婚率は、2020年には34.5%に達していますし、同じ年齢層の女性の独身率も23.6%まで上がっています。
一方で、2015年の出生動向基本調査によれば、18~34歳の未婚者(男女)の90%近くはいずれ結婚するつもりだと述べており、結婚の最大の利点として「自分の子どもや家族をもてる」ことを挙げています。つまり、若い世代の大半は「結婚して子どもを持ちたい」と思っているのに、実際にそうする人の割合は減り続けているのです。