被害者にならないためにできること
現時点で、続発した強盗事件で使われた名簿の出所は分からない。しかし、土井氏の示唆するように、入手経路は複数存在する。
闇名簿の問題は、土井氏も言及している通り、名簿をカタギの人が裏社会に流さないと出回らないのかもしれない。小遣い稼ぎのために流した名簿データから、今回のような悲劇が生まれてしまう可能性がある。
拙著『だからヤクザを辞められない 裏社会メルトダウン』(新潮新書、2021年刊)で半グレの証言を紹介しているが、彼らの犯罪はカタギの協力者がいるケースが散見される。グレーにも濃淡があるということだ。
ほかに名簿の情報収集は、筆者が知る限り、Amazonや銀行、各種配送サービスを語る詐欺メールだ。慌ててクリックしてしまうと情報収集されてしまう。このようなメールを受信したら、慌てずにメール左上の「From」の部分をクリックして、差出人を確認してほしい。「@amazon.co.jp」なら本物の可能性が高いが、「amazon@zecedtz.cn」など、co.jp以外は偽物である。
特殊詐欺の背景を知るチャンス
本件は、なかなか逮捕されない犯罪組織上層部の取り調べから、特殊詐欺の背景を知る千載一遇のチャンスである。
捜査で明らかとなるであろう諸事実から、われわれは社会防衛のための対策、新たな被害者を生まないための対策を立てることが可能となる。
いま、国内外に複数人いるとされる「ルフィ」。そのうち渡邉優樹(38)、今村麿人(38)、藤田聖也(38)、小島智信(45)の各容疑者は、フィリピンの収容所に身柄を拘束されている。
彼らが強制送還され、警察の取り調べにより、一刻も早く事件の全容が解明されることが待たれる。