今、自宅で保管している金(ゴールド)が特殊詐欺犯に狙われている。2022年1月、オレオレ詐欺で3000万円以上の価値がある金塊を詐取される事件が首都圏で続けて起きた。ルポライターの多田文明さんは「『息子』を名乗って高齢者宅に電話して、お金を振り込ませるのではなく、所有していた金塊を詐取するのです。過去には買わせた金塊の詐取もありました」。なぜ、そんなことが可能なのか――。
純度99.5%、1kgのインゴット3つ
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2022年になって自宅の金塊を詐取される事件が続発

2022年に入って、「息子」を名乗ったオレオレ詐欺犯によって金塊を詐取される事件が続いています。こうした詐欺はいったん成功事例が生まれると、同様の手法がその後も繰り返し行われる傾向があります。読者の皆さんもオミクロン株感染防止同様に最大級の警戒をしてください。

今回の手口は具体的にはどんなものだったのでしょうか。

1月21日、千葉県に住む80代女性の自宅に、息子や医師などをかたった複数の人物から電話がかかり、その後、家にやってきた男性に金の延べ板10枚(計5kg)を渡してしまっています。3500万円相当といいますから、かなりの被害金額です。

10日ほど前にも都内に住む80代女性が、やはり息子をかたる人物からの電話を受けて、60万円と3000万円相当の計4個(約4kg)の金塊を詐取されています。

両事件とも、詐欺犯のアプローチは同じです。

「かばん(や携帯電話、財布)をなくしてしまった。すぐにお金が必要なので貸してほしい」

以前からオレオレ詐欺でよく使われる古典的なセリフであるにもかかわらず、なぜ、大事な金塊を差し出してしまったのか。