「プロスペクト理論」抜きではどうなるか
もし勝間さんの話がこのようなモデルの当てはめをしない内容だとしたら、どのように伝わるでしょうか。試しにその部分を除いて表現してみます。
私たちはなぜ変化に弱いのか、変化が苦手なのかというと、答えは簡単です。私たちは生き残りたいからです。いま現在の状態では死なないとわかっています。しかし何かを変化させると、最悪は死ぬかもしれない。つまり現状維持なら死なないわけです。とにかく人間は新しいことが苦手なんだというイメージを持っておいた方がいいと思います。
もちろん主張は伝わります。しかし根拠という点ではやはり物足りなさを感じてしまうように思いますが、いかがでしょうか。
モデルに当てはめることで主張の正しさを訴える。ぜひあなたも勝間さんの話し方を真似てみてください。そのような意味を込めて、次のエクササイズに挑戦してみましょう。
【演習問題】
あなたの周囲に、なかなかチャレンジしようとしない人はいませんか。その人がチャレンジしない理由を、プロスペクト理論を使い説得力ある内容で説明してみてください。
あなたの周囲に、なかなかチャレンジしようとしない人はいませんか。その人がチャレンジしない理由を、プロスペクト理論を使い説得力ある内容で説明してみてください。
「正しい」ではなく「正しそう」
ところでもし「結局のところ、説得力ある話とは何か」という問いがあるとしたら、あなたはどのように答えるでしょうか。シンプルゆえにとても答えることが難しい問いかもしれません。
さっそく私の答えを示します。すなわちこの記事のの結論は何かということです。
「正しそうに伝わる話」
ここで重要なのは「正しい」ではないことです。あくまで「正しそう」です。説明が上手な人(つまり頭のいい人)は正しい内容を伝えているわけではありません。自分の主張を正しそうに伝えているだけなのです。
少し伝わりづらいニュアンスかもしれないので、補足のために説明をさせてください。
あらためて、モデルに当てはめて話すとはどういうことかを確認します。
主張したいことがある
↓
多くの人が正しいと評価する法則に当てはめる
↓
説得力ある内容として伝わる
ここで重要になるのが、「多くの人が正しいと評価する法則」という表現になっていることです。なぜ私は「正しい法則」と表現していないのでしょう。