高齢ドライバーは運転免許を返納したほうがいいのだろうか。愛媛大学医学部附属病院 抗加齢・予防医療センター長の伊賀瀬道也さんは「65歳以上の高齢者による車の事故率が、他の世代と比べて特別に高いわけではない。運転をやめた人は続けた人より要介護リスクが2倍高くなるという研究結果も出ており、脳機能や運転能力が落ちないうちはなるべく続けたほうがいい」という――。

※本稿は、伊賀瀬道也『100歳まで生きるための習慣100選』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

ハンドルの上の年配の紳士の手
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「高齢者の運転する車は事故率が高い」というデータは存在しない

高齢者になると、家族から運転免許の自主返納を促されることがあるでしょう。昨今、高齢者の運転は危険だという風潮が広がっているからです。

本当にそうなのでしょうか。あまり知られていないのですが、「65歳以上の高齢者による車の事故率が、他の世代に比べて特別高い」というデータは、今のところ出てきていません。

少し特殊な例かもしれませんが、ご高齢にもかかわらずアクティブに運転をされている方を一人紹介しましょう。

日本のレース黎明期ともいえる1960~1970年代に、国内トップカテゴリーで活躍したレーシングドライバーを総称して「レジェンドドライバー」と呼ぶのですが、彼らのつくった「レジェンドレーシングドライバーズクラブ」のお一人に武智勇三さんがいます。かつてダイハツのワークスドライバーとして活躍されました。

武智さんとは、私も友人としてお付き合いしていますが、80歳を超えた現在も本当にお元気で、ドイツ製のスポーツカーを運転されています。武智さんを含めたレジェンドドライバーのみなさんは、すでに平均年齢が75歳を超えているにもかかわらず、一年に一度「富士スピードウェイ」に集い、最高速度200km/hでの激しいバトルを見せてくれているのです。