※本稿は、横山光昭監修『定年前後のお金と手続き 2023年版』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
老後の暮らしをより良いものにするには
人生100年時代といわれる今、「定年」を迎えたあとの日々の長さに経済的な不安を覚える方も多いのではないでしょうか?
定年を迎えてすぐに家計のダウンサイジングをしようとしてもなかなかうまくいかないもの。今から保険や各種ローンの見直しを行って支出を減らすことも1つの手です。しかし収入源である「年金」の受給額を少しでも多くすることができるとしたら、老後の暮らしがより良いものになることでしょう。
今回は夫婦で受け取る年金を増やす方法を4つに分けてご紹介いたします。
方法①任意加入で未納期間をカバー
国民年金は20歳から60歳まで、厚生年金は適用事業所で働き始めてから離職するまで(最長70歳まで)、それぞれ保険料を支払います。厚生年金は勤務先が手続きを行い、給料天引きで支払われるので、払い忘れはほとんどありませんが、国民年金は場合によって自分で手続きが必要なため、未納期間があるケースがよく見られます。
未納期間があると、老後に受け取れる年金が少なくなります。たとえば、2年間の未納で、老後の年金額は年約4万円減に。65歳から90歳まで受け取ったとすると、約100万円も減ります。未納期間の保険料はあとから納めることができますが、さかのぼれるのは2年前まで。それを過ぎると納められません。
一方、経済的に余裕がなく、保険料の「免除」や「納付猶予」などを受けた場合も、受け取る年金額は減少します。補うために「追納制度」がありますが、免除等期間から10年以内が期限。それを過ぎると、やはり納めることができなくなります。
ただ、追納期限を過ぎてしまっても、あきらめるのは早計。60歳以降、国民年金に「任意加入」すれば、保険料を追加で納めることができます。具体的には、保険料の未納や免除などの期間があって、①満額の年金がもらえない人は65歳まで、②年金の受給資格期間(10年)を満たしていない人は満たすまで(最長70歳まで)、任意加入が可能です。