月を愛でると、心が洗われていく

夜もふけるころ、空を眺めてみてください。満ち欠けを繰り返す月の姿がくっきりと浮かび、そのときどきの美しさに感嘆することでしょう。

毎晩眺めていると、月の姿が隠れる雨の夜にも、幻影を見るかのような心地になると思います。

仏教で月は、私たちに本来備わっている美しい悟りの心を象徴するものとされています。だからこそ月を愛でると、自分の心が澄んでいくようなすがすがしさを覚えるのかもしれません。

「誰家無明月清風(たがいえにめいげつせいふうなからん)――どんな暮らしをしている家にも月は明るく宿り、清らかな風は吹き抜ける」という禅語があります。

明月と清風は仏性を意味し、「どんな貧しい人の心にも仏性は宿っている」と説いているのです。心が洗われるようではありませんか。

毎晩、月を愛で、心を自分本来の美しい心にリセットする。それも心の養生のために大事な営みではないかと思います。

松の木の上に昇る満月
写真=iStock.com/kyoshino
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星に感動すると、ストレスが消えていく

夜空に輝くのは、月だけではありません。無数の星が瞬いています。田舎に行くと、まさに「星が降る」という形容がふさわしい、圧巻の風景が眺められます。

そうはいえども、ふだん星空を眺める人がどのくらいいるでしょうか。都市部ではとくに、ほとんどの人がネオンに気を取られて、星はあまり見ないように思います。非常にもったいない。月を愛でるついでに、意識して星空を見上げましょう。

なぜそんなことを提案するかというと、夜空に瞬く星々には「悠久のロマン」が感じられ、その時間軸の広がりとともに心がゆったりするからです。

星々の光が私たちの目に届くまでの時間を考えてみてください。たとえば一万光年離れたところにある星の光なら、一万年という途方もない歳月をかけて宇宙空間を飛び続け、ようやく地球に届くのです。

そう思うと、ちっぽけなことに思い悩む気持ちがなくなりませんか? とくに心がざわつく夜は、星空を眺めましょう。その悠久のロマンに浸るうち、心にのしかかるストレスが軽減され、整っていくと思います。