※本稿は、枡野俊明『仕事も人生もうまくいく整える力 禅が教えてくれる98の養生訓』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
夜9時以降は「何も考えない」
日中を活動的に過ごすと、かなり疲れます。夜遅くまで遊ぶ体力は、とても残っていないはずです。仕事も遊びも、遅くとも夜9時前後には切り上げ、疲れをクールダウンさせる。
「整える力」を高めるためには、それが夜にふさわしい過ごし方です。
私は夕方6時ごろに仕事を一段落させ、2時間ほど夕飯や入浴に費やします。その後1時間半くらいまた仕事をして、9時半にパソコンの電源を切ります。
あとはお仏壇にお参りして眠りにつく。夕方から夜にかけては、だいたいそんなスケジュールです。日中の興奮がうまい具合に静まり、布団に入った瞬間、ストンと寝入ります。
みなさんには残業やら、夜のおつき合いやらがあって、夜も何かと忙しいと思いますが、極力「活動は9時前後まで」と決め、そして就寝までのせめて2時間くらいは、たとえばヒーリング系の音楽を聞いたり、詩集を読んだり、画集を眺めたり、アロマを焚いてまったりしたり、心を整える安らぎの時間を過ごしてください。
日中は頭を使うことが多く、脳の活動が前頭葉に集中するそうです。だから夜は何も考えず、前頭葉を休めてあげるのがいいとされています。
もう全部“朝送り”にしよう
夜は一人で落ち着いて考えるのに適した時間帯のようですが、それはまったくの見当違いです。
なぜなら闇に覆われる夜は、思考がネガティブに陥りやすいからです。とても“ポジティブ思考”“未来思考”にはなれないのです。
また大事な判断をするときも、夜はふさわしくありません。判断というのは、それが大事なものであればあるほど、心身のエネルギーがマイナスに傾いているときにしてはいけません。
思考が悲観的になり、消極的な行動を促し、はかばかしい結果が得られない危険性があるからです。
夜は心身の疲れを癒す。それが自然の摂理にかなった過ごし方です。へたに考えごとをして眠れなくなるより、何も考えず、何も決めず、気になることがあっても“朝送り”して、よく眠り、心身のエネルギーを充塡することのほうが大切です。
そうして朝、すっきりと目覚め、日の光を浴びて活動を開始する――。そのときこそ“判断の旬”なのです。