「無意味な人間関係」ほど、自分の時間を奪うものはない。それでも、周囲との関係に疲れてしまう現代人は決して少なくない。『人間関係を半分降りる』著者の鶴見済さんに、苦手な人との付き合い方を聞いた。

無意味な人間関係から遠ざかっていくこと

鶴見さんは1993年に刊行されたミリオンセラー『完全自殺マニュアル』の著者としても知られ、「生きづらさ」をテーマにした執筆活動を続けている。自身も20代の時期に大手メーカーや出版社などで勤務した経験から、人間関係の煩わしさには苦労してきたという。そうした経験から導かれたのは、「人間関係を半分降りる」という選択肢だった。

鶴見 済氏
鶴見 済氏(撮影=藤中一平)

「人間には必ずどこか醜い部分があるものです。家族や友人、知人との関係も、世の中で言われているほど素晴らしいものとは限りません。だからこそ、無意味な人間関係からは心の距離だけでも遠ざけて、『人間関係から半分降りる』必要がある。そうすればもっと楽に生きられます」(鶴見さん、以下同)

毎日顔を合わせる会社の上司や先輩、家族との関係が自分にとって前向きなものではない場合、完全に逃れることはできないが、精神的に離れることは可能だという。

「大切なのは『心の距離』を置くということです。たとえ物理的な距離が近くても、互いが相手のことを心に思い浮かべる回数を極力減らしていけばいいのです。そうして気づいたら疎遠になっていたという状態を目指しましょう」