イギリスのチャールズ国王の次男、ヘンリー王子が来年1月に回顧録を出版する。ジャーナリストの大門小百合さんは「『Spare』という意味深なタイトルの本で、英国王室に批判的なことも書かれているのではないかと、注目が集まっている。王室が揺れているのは確かだが、日本の皇室よりは安泰であるように思えてならない」という――。
エリザベス女王が亡くなった2日後、英国・ロンドン近郊のウィンザー城で姿を見せた(左から)キャサリン妃、ウィリアム皇太子、ヘンリー王子、メーガン妃。2022年9月10日撮影
写真=PA Images/時事通信フォト
エリザベス女王が亡くなった2日後、英国・ロンドン近郊のウィンザー城で姿を見せた(左から)キャサリン妃、ウィリアム皇太子、ヘンリー王子、メーガン妃。2022年9月10日撮影

王子の回顧録には何が書かれているのか

イギリス王室が揺れている。

震源地は、現在王族としての役割から距離を置き、子どもたちとアメリカで暮らしているヘンリー王子だ。12月8日には、王子とメーガン妃のドキュメンタリー番組がNetflixで正式に配信され、来年1月には、ヘンリー王子の回顧録『Spare』(「スペア、予備」の意)が発売される。この回顧録とドキュメンタリーで一体何が明かされるのか、イギリス王室は戦々恐々としているに違いない。今、英米のメディアではこの問題について、実にさまざまな報道がされているのだ。

しかし、ドキュメンタリーと回顧録の内容の詳細については、ほとんど明らかになっていない。イギリス王室に詳しい専門家のニック・ビュレン氏はアメリカのエンターテーメント系週刊誌のUs Weeklyの取材に答え 、Netflixがこのドキュメンタリーのため大金を支払っていることを考えれば、少なくともこの作品には視聴者を満足させる中身が必要だという。「だから、少なくともヘンリー王子とメーガン妃は『私たちは(カリフォルニア・サンタバーバラの高級住宅地)モンテシートですてきな生活を送っていて、お互い愛し合っている』などとだけ言ってごまかすことはできないだろう」と語る。

人生を「生々しく、率直に」描く

回顧録『Spare』については、出版元のペンギン・ランダムハウスが、ヘンリー王子の人生を「生々しく、率直に」描いたものになると発表し、プレスリリースには以下のようにある。

「世界が悲しみと恐怖に包まれる中、母親のひつぎの後ろには2人の王子たちが歩いていた。ダイアナ妃が亡くなり、王子たちは何を考え、何を感じ、そしてこれからどのような人生を歩んでいくのだろうかと、多くの人が思いを巡らせた。この本はヘンリー自身が、ようやく自分の物語を語る機会となる」

王子自身も、この本は、幼少期から王族としての成長、兵役、結婚、そして父親としての経験など、自分の人生について「正確かつ完全な真実」を記したものだと語る。

当初は2022年秋に発売予定だった回顧録の発売は、エリザベス女王の死去を受け延期された。だが、結局出版見送りとはならず、2023年1月10日には出版される予定だ。