85%が「1年後も物価は上がる」と予想

物価上昇の背景には複数の要因がある。異常気象による農作物の生育不良や再生可能エネルギー由来の発電量の減少、コロナ禍の発生、感染の再拡大の長期化、ウクライナ危機などによってエネルギー資源や食料の価格は上昇した。その結果、企業の原材料調達コストは上昇している。それに加えて、一部諸国では深刻な人手不足に直面しており、賃金上昇も物価押し上げの一因となっている。

10月の食品主要企業による“値上げラッシュ”は、コスト増加などに直面する企業の苦悩を浮き彫りにした。電気代やガス代の値上がりも加わり、2023年の値上げを予定する企業も多い。そうした展開に身構える消費者は増えている。日銀が公表した「生活意識に関するアンケート調査」(第91回)の結果によると、2022年9月時点で1年後の物価が“かなり上がる”との回答は28.9%、“少し上がる”は56.8%と過半数が物価上昇を予想している。

コスト上昇に企業が耐えられなくなっている

当面、わが国の企業は一段のコスト上昇に直面することが懸念される。日銀が公表している最終需要・中間需要物価指数の推移をみると、企業の原材料の調達コストが上がっていることが分かる。中間需要とは、モノやサービスを他の製品を生産するための原材料として販売することをいう。日銀は中間需要を4つのステージに区分している。

具体的に、ステージ1は、生産フローの最上流に位置するもの(例として、原油などの原材料)。ステージ2は生産フローの中間に位置し、上流に近いもの(プラスチック製品など)。ステージ3は生産フローの中間だが相対的に最終需要に近いもの(集積回路など)。ステージ4は最終需要に最も近いもの(工作機械など)だ。